今季の国内女子ツアー第12戦となる「ブリヂストンレディスオープン」が、きょう16日に開幕した。千葉県の袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コースを舞台に4日間の大会が行われる。コースの特徴は? 選手の仕上がり具合は? 青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏がトーナメント会場から、注目ポイントを紹介する。


■6731ヤードを制するために必要な要素は?

「グリーンは小さいし、ラフも長い。そのラフに囲まれるように花道がないホールも多いです」。大西氏はひとしきりコースの特徴を挙げたが、やはり一番力を込めたのが「距離が長いです」という言葉だった。今季ここまで行われてきた大会で最長となる6731ヤードという設定。かつて男子の「ブリヂストンオープン」が開催されていた名残りが、こんな部分に感じられる。

それゆえ、大西氏がはじきだした優勝予想スコアは「1ケタになると思っています」。今大会は2年前にも同コースを使用し、その時は西郷真央が13アンダーで優勝しているが、その時以上にし烈な争いになることも予想している。

400ヤード超のパー4が5カ所用意されるなど、選手は次々と長いホールと対峙することになるうえに、ラフの長さもしっかりあり、かつグリーンも小さいため、ティショットを外すとパーオン困難なホールが続出する。「ラフに入れたら1ペナと言ってもいいくらいです。グリーン周りのラフも長いので、ショートサイドに外せば簡単にボギーが来ます。まずはティショットをしっかりとフェアウェイに乗せること」。大西氏はここをキーポイントのひとつに挙げる。

一方で、4カ所あるパー5は「3つは乗せられますね」と、2オンを積極的に狙えるという。9番は585ヤードと長いが、490ヤードの2番、510ヤードの16番、18番はバーディを取りたいホールになる。もちろんそれもティショット次第にはなるが、このあたりの押し引きも注目ポイントになりそうだ。

■吉田優利の“特打ち”に感じた覚悟

大西氏は単純に距離が長い=飛ばし屋が有利、という構図にはならないことも説明する。そのなかで「調子が上がっています」と活躍を予感させるのが、ディフェンディングチャンピオンの山下美夢有だ。昨年のコースは愛知県の中京ゴルフ倶楽部 石野コースだったが、連覇も十分あると見る。今季未勝利ながら先週の2位など、ここ4試合はトップ5を外していない。「ショット、パットも“らしさ”が出てます」と、そろそろ…という雰囲気が漂う。

またコース内で目を止めたのが、ここが今季日本ツアー初戦となる吉田優利だった。「プロアマの後、辻村(明志)コーチと一緒に、最後までショット練習をしていました。辻村コーチと過ごす時間は、吉田選手にとって一番大事な時間だと思います。地元・千葉県出身ですし、ブリヂストン契約選手でもある。優勝争いに食い込んでくると思います」。練習場で見せた並々ならぬ覚悟が、そのまま結果につながると読んでいる。

また岩井姉妹にも視線が送られた。「千怜選手が開幕戦以来となる勝利を先週挙げましたが、こうなると明愛選手が燃えてくる。実際に話をした時、『自分もやらないと』という言葉を聞くこともできました。姉妹でありいいライバル。このあたりで火が着くんじゃないでしょうか」。これまで何度も見せてきた“相乗効果”が期待できそう。

「グリーンに乗せられなくても、アプローチで寄せる技術が大事になります。グリーンも硬くなってくるようですし、ショートゲームでしっかりとスコアをまとめられないと上位にはいけませんね。耐えて、耐えての4日間。ここがカギになると思っています」。ティショットから小技まで気を抜けない、総合力が試される一戦が幕を開けた。

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。


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