北海道は9日、国や自治体の支援で存続を目指すJR北海道の利用客に赤字8線区(通称・黄色線区)の利用目的を尋ねるアンケートの結果をとりまとめ、道議会道地方路線問題調査特別委員会に報告した。利用目的は、「観光」が多い4路線と「日常利用」が多い4路線に分かれている実態がわかった。

 道によると、調査は昨年7月の2回の週末6日間に全道の11駅でアンケートを配布し、約5200人が郵送かウェブで回答。実施と分析は外部に委託した。

 全道では約3割という「観光」での鉄道利用が、根室や花咲、釧網、富良野の4線ではおよそ5〜6割を占めた。一方で、日高や石北、宗谷、室蘭の4路線では「日常利用」がより多かった。

 また、富良野と釧網、花咲の3線は道内への旅行客誘致にも役立っていた。この路線の列車が運行されていない場合に道内の旅行を取りやめるとする観光客数が、富良野は約20万人、釧網は約9万人、花咲は約4万人に上ると推計され、3路線がこれらの観光客を北海道に呼び寄せたとした。それら3路線の全道への経済波及効果は、別の調査結果を踏まえると合計330億円に上るという。

 また、物流において、黄色線区の鉄道輸送をトラックに置き換えた場合、温室効果ガスの排出量が4倍に増えてしまうとの推計も出した。

 道議からは、黄色線区の維持に向け、今回の調査結果を国やJR北と共有するように求める意見も出た。(松尾一郎)