食料危機に陥った際、政府が農家に増産などを要請できるようにする食料供給困難事態対策法案が13日、参院農林水産委員会で、自民、公明、日本維新の会の賛成で可決した。14日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。審議では農家などに科す罰則規定について、専門家から憲法違反の恐れを指摘する声も上がった。

 同法案では、コメや小麦などが大幅に不足する場合、政府は農家や販売者らに対し、生産や販売の計画作成と提出を指示でき、従わない場合は罰金を科すとした。食料危機がさらに深刻化した際には、政府は生産計画などの変更を指示でき、従わなければ氏名を公表する。

 これらの規定について、6日にあった同委員会の参考人質疑では、共産党が推薦した池上甲一・近畿大名誉教授が「(憲法が保障する)営業の自由を阻む恐れがある」と訴え、「花や果物の農家は(コメや小麦への生産転換の)指示におびえながら経営することになる。将来を見通した計画的な投資や営農意欲に悪影響を与えかねない」と指摘。立憲民主と国民民主が推薦した谷口信和・東大名誉教授も「自主性をどうつくるかが大事だ」と述べた。