背番号「1」をつけた2年生右腕・渡辺颯人(はやと)投手が8イニングを投げ、滋賀学園打線を4安打に抑えた。

 持ち前の直球を投げ込み、打たせてとる投球。中盤まで散発2安打に封じた。七回には連打を浴び、一、二塁のピンチを背負ったが、この場面でも後続を邪飛に仕留めた。走者を二塁に進めたのはこの場面だけで、終始危なげない投球だった。

 現在のチームで迎えた昨年の秋季大会県予選で智弁和歌山の投手陣は、今年の選抜大会に21世紀枠で出場した田辺の選手に満塁本塁打を浴び、敗退。この反省から渡辺投手は、走り込みや筋力トレーニングに力を注ぎ、持久力をつけてきた。さらに冬には球種も増やし、打者に的を絞らせない工夫を重ねてきた。この半年で、体重が10キロ増えた。

 105球を投げても、満足感はない。「まだまだ投球術を磨いていきたい」。進化を止めないつもりだ。(寺沢尚晃)