レッドブル・ホンダRBPTのF1第8戦モナコGPは、波乱の幕開けとなった。

 16番グリッドからスタートしたセルジオ・ペレスが、スタート直後の1コーナーを立ち上がったところで、ケビン・マグヌッセン(ハース)と接触、その後ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)を巻き込む大クラッシュとなり、赤旗中断となった。

 接触したペレスとマグヌッセン、2台の事故に巻き込まれる形となったヒュルケンベルグの3台がその場でリタイアした。

「スタートでハースの1台にポジションを奪われ、1コーナーの立ち上がりでケビンをミラーで確認できなかった。あの動きは不必要だったと思うし、大きなダメージを負う、とても危険な事故だった。ものすごいクラッシュで、僕のクルマは完全に壊れてしまった。幸い、僕はヒジに小さなかすり傷を負っただけで大丈夫だったけど、レース審議委員会が調査しなかったのは残念だ」

 これでレッドブル・ホンダRBPTは、チームメイトのマックス・フェルスタッペンのみが再開されるモナコGPを戦うことになったが、皮肉なことにペレスの事故によって、6番手からスタートするフェルスタッペンのレースも、事実上終わってしまっていた。

「もちろん、チェコがあのようなクラッシュにも関わらず、無事だったことはいいニュースだ。ただ、1周目に赤旗になったことは、僕らの戦略が台無しになったことを意味していた。だから、再開されたレースは、僕だけでなくチームのみんなにとっても退屈なものとなった」

 1回目のスタートでハードタイヤを選択したフェルスタッペン。上位4人がミディアムタイヤでスタートしていたことを考えると、1回目のスタートの時点で異なるピットストップ戦略を採用していたフェルスタッペンとレッドブル・ホンダRBPTには、まだモナコGPで逆転できる可能性は残されていた。

 しかし、1周目に赤旗が出て、ペナルティなしでタイヤ交換義務を消化できることとなったため、1回目のスタートでどちらのタイヤを履いていたかは関係なくなり、さらに2回目のスタートで履いたタイヤで多くのクルマがチェッカーフラッグを目指すこととなった。つまり、抜きどころがないモナコで、タイヤ交換もピットストップもないレースとなれば、順位を上げることは不可能なため、フェルスタッペンにとってこの赤旗は考えられる最悪の状況だった。

 こうしてフェルスタッペンは6番手からスタートして、6位でフィニッシュした。それでも、フェルスタッペンは現実を受け入れ、前を見つめている。

「僕たちにとって、悪い週末だったけど、ポジティブだったこともある。それはマシンの弱点がわかったこと。この結果に過剰な反応をしないで、冷静にデータを見つめ直して、しっかりと分析して、次のカナダGPへ向かいたい」