○ ロッテ 7 − 1 ソフトバンク ●
<9回戦・ZOZOマリン>

 ロッテのリリーフ陣がソフトバンク打線を1失点に抑え、7−1で勝利し、連勝は8に伸びた。

 “ブルペンデー”となったこの日、先発したのは19年から3年間先発していた経験のある岩下大輝。先頭の周東佑京を一ゴロ、続く今宮健太を空振り三振と簡単に2アウトを奪う。柳田悠岐に四球を与え、山川穂高にセンター後方の飛球を打たれるも、中飛で無失点に抑えた。岩下は球団を通じて「ひやっとしましたが、0で抑えられて良かったです」と振り返った。

 2回からは近年、ロングリリーフで安定した投球を見せる中村稔弥。この日もかつてマリーンズに在籍していたチェン・グァンユウから教わった“ロングリリーフではテンポ良く”を実践した投球で3回を2安打無失点。

 2−0の5回は澤田圭佑、6回は坂本光士郎の“94年世代”コンビがスコアボードに0を入れ7回へ。

 2−0の7回に登板した澤村拓一は三者連続四球でピンチを招くも、無死満塁で登板した鈴木昭汰が「2−0で勝っていたので、そのリードを絶対守ろうと思って、気持ちを込めてマウンドに行きました」と、代打・中村晃を投併に仕留めると、三森大貴を遊ゴロでピンチを脱した。

 2−0の8回にマウンドに上がった国吉佑樹は簡単に2アウトを奪ったが、柳田に四球、続く山川に適時打を浴び1点を返される。さらに近藤健介に左安、栗原陵矢に四球を与えたところで、マリーンズベンチは益田直也の投入を決断。

 益田は川村友斗を魂の3球連続ストレートで三振に仕留めると、その裏、打線が5点を奪いリードを6点に広げる。7−1となった9回も益田がマウンドに上がり、危なげなく3人で片付け試合を締めた。

◆ リリーフ陣の準備力

 ロッテのリリーフ陣を開幕から取材していると“準備”について口にすることが多い。

 「準備は日々一緒でやることは変わらないので、自分のアップのところから今日1日やると決めていることをやってゲームに備えることだと思います」(国吉)

 「8回、9回ぽい感じはあったんですけど、今日(4月16日の西武戦)クローザー行くからというのは言われていなくて、自分の中では準備できていましたね」(鈴木)

 今季ブルペンを担当する黒木知宏コーチに5月25日の試合前練習後に取材し、ブルペン陣の準備について訊くと「上手ですよ」と評価し、「打順を見たり、イニングが半ばから深くなっていったときに自分が登板するであろうと予測して先回りして動いているんですよね」と明かした。

 「ベンチで小野コーチが頑張っているので、小野コーチとプランを立てて監督と話をして、それに沿っていきますよと、連絡をとってくれている。大体予想しているものと、ベンチからの指示があってきている。選手たちも動きやすくなっている。あとは準備ができているかなと思います」。

 では黒木コーチが、ブルペン陣がマウンドに送る際に心がけていることは何かあるだろうかーー。

 「心がけは選手のルーティンがあるんですよ。あの選手はこのイニングからストレッチをしたり、このイニングから走り始めたり、そのルーティンをできるだけ守れるように早め早めに(小野)晋吾と話をして前、前のイニングぐらいからちょっと準備をさせる話をしてあげると言うのを心がけていますね」。

 この日はイニング途中からマウンドに上がった鈴木、益田が見事な火消しを見せたが、ベンチとブルペンの意思疎通もしっかりできている。

 「不安を持って、僕らはよく“差し込まれる”と言うんですけど、突然、“えっ僕が行くんですか!”という感じがほとんどなくなってきている。精神衛生上いい状態のままマウンドに上がれている。そこの環境づくりは小野コーチと連携をとってやっていかないといけないかなと思いますかね」(黒木コーチ)

 鈴木は「やることはこれしてこれでいくというのは決まっていますね。ブルペンでも同じことをやって上がっていますね」とマウンドに上がるまでのルーティンを確立。この日は2−0の7回無死満塁の場面での登板となったが、「ブルペンでいきそうだなと思っていたので、そこらへんは大丈夫でした」といつ声がかかってもいいように準備はできていた。

 選手たちが場面を読んで準備をし、首脳陣もリリーフ陣がマウンドに上がりやすいように環境を整える。

 マリーンズは勝ちパターンを固定せず、今季も色々な勝ちパターンで逃げ切っている。準備以外で抑えられている要因はあるのだろうかーー。

 黒木コーチは「スコアラーさんのデータ分析しているものを頭に描きながら、自分の対戦成績の中で本人たちも得意、不得意がわかっているんですね。得意の選手には変わらず、不得意な選手に対してはどう対処していこうかとある程度頭の中で整理できているんじゃないですかね」と自身の見解を述べた。

 この日はブルペンデーとなったが、常日頃からのリリーフ陣の準備が形となった勝利といえるのではないだろうか。リリーフ陣の頑張りもあり、良い形で28日からの交流戦に臨む。

取材・文=岩下雄太