日本GP 第4戦 決勝 7日 鈴鹿サーキット(5・807キロ×53周)

ペン=田村尚之、小林孝一郎、尾張正博、ルイス・バスコンセロス

カメラ=谷沢昇司、川柳晶寛、浅井慶、森研人

 ビザ・キャッシュアップRBの角田裕毅(23)が10位に踏みとどまり、3度目の挑戦でついに母国GP初入賞を果たした。前戦から連続入賞で、日本人選手の日本GP入賞は12年ぶり。最初のスタートで順位を落とすも、赤旗中断後の再スタートで好ダッシュを決めて再び入賞圏内へ。チームの素晴らしいピットストップもあって、地力で勝る車両を駆るライバル勢を完封。「皆さんの期待に応えられて、日本人としてうれしい」と胸を張った。(観衆=10万2000人)

 鈴鹿のスタンドを埋め尽くした観客が、激闘を終えた角田に惜しみない拍手を送る。明らかに車両の戦闘力が高いトップ5チームの10台を向こうに回し、入賞圏内の10位に食い込んだ。

 チェッカーを受けると、心地よいユウキコールを浴びながらゆっくりと1周。「感動した。最後まで応援してくれた皆さんの期待に応えられたのが、日本人として一番うれしい。感謝を伝えながら1周した」と話す。

 日本人選手による日本GPの入賞は、2012年に3位表彰台に立った小林可夢偉(当時ザウバー)以来だ。3度目の母国GPとなる角田にとって、母国での初ポイントを獲得し、新しい時代を切り開いたことをアピールした。

 厳しい戦いだった。最初のスタートで出遅れ、10番グリッドから12番手に後退するピンチ。直後に赤旗が出たため、再スタートで9番手まで取り返した。7周終了で行った最初のピット作業で15番手前後まで順位を落とすも、22周での2回目ピットではチームの素早い作業で一気に3台抜き。角田も無線で「素晴らしい仕事ぶり。(一緒にピットインした中で)トップになった」と感謝の思いを伝えた。

 その後もトップ5チームの車両を相手に必死に食らい付き、RBと同じ中団グループからの攻めを必死に抑え込んだ。コース上でも難しいとされる逆バンクで鮮やかな追い抜きを繰り返すなど、母国GPで抜群の存在感を放った。

 前戦オーストラリアの7位に続く連続入賞で、角田にとっては昨年の第3&4戦以来となる通算3度目。上位と下位それぞれ5チームの戦力差が歴然とし、なおかつ各グループの差が接近している超激戦の今季、なおさら評価が高まる奮闘ぶりだ。

 「毎周、ファンのサポートを感じながら走った。リラックスしていつも通りのレースができた。感謝している。これで日本のファンが増えてくれたらうれしい」。母国GPの10位は、たった1ポイントながら、貴重な1ポイント。角田が大きな仕事を成し遂げた。