GT300のJLOC88号車は鮮やかなポールtoウインだ。最初の2スティント(ピットイン間の走行機会)を担当した元嶋は「後ろを一度も見ないで、自分のペースとラップタイムだけを考えて走れた」ときっぱり。別世界の速さで2番手との差を広げていった。

 最後を受けた小暮は余裕のクルージング。「大きなリードで楽に戦えたが、そんなときこそ変なことが起きるもの。気を引き締めていた」と言うが、知らず知らずと笑みがこぼれた。

 元嶋がチーム在籍8年目で、小暮も6年目。代表を務める則竹功雄監督が、チーム力を上げる努力を続けてきたのを痛いほど知っている。昨年の最終戦以来となる勝利を挙げ、大きな目標がくっきりと浮かび上がる。

 小暮は「則竹さんがずっと『チャンピオンを取りたい』と声を上げて行動し、それがやっと形になってきた。いいクルマにタイヤ、チーム力も上がってきた」とチームの成長を実感。元嶋も「こんなに(勝てる)道具がそろっているのは、自分のレース人生で初めて。チャンピオン目指して、一戦一戦を大事に戦いたい」とぶち上げた。

 ランキングも首位から1ポイント差の2位に躍進。長い努力が実って、チャンピオン候補に浮上したJLOC88号車が、長いシーズンをこのまま一気に駆け抜ける覚悟だ。