スーパー耐久第2戦「富士24時間」(25〜26日決勝)を見据えた公式テストが8日、静岡県の富士スピードウェイで開かれ、昨季限りでスーパーGTを退いた立川祐路(48)が参加した。他のシリーズへの参加は引退後初めて。監督を務めているインギングが、タイのチームとコラボレーションした「2Wズーミーズ×GRガレージ山口・周南」のCドライバーとしてエントリー。約半年ぶりにレーシングカーでの本格走行を楽しんだ。 (田村尚之)

 立川が今回手がけたのは、STZクラスに参戦するトヨタGRスープラGT4のシェークダウン(試走)。お決まりの初期トラブルで、昼間の走行では3周しか走れなかったが、表情はすこぶる明るい。

 「まだちょっとしか走っていないけど、楽しいですね。GTとは違って大きなプレッシャーもないし、24時間レースは独特な雰囲気がある」

 27年間も戦ったスーパーGTでは、通算ポールポジション24回の最多記録ホルダーで、通算勝利も歴代2位の19勝。3度の王者に輝き、レジェンド的な存在だった。惜しまれながら昨季限りでステアリングを置いたが、他シリーズへの参戦は除外していなかった。

 「走るのが嫌になって辞めたわけじゃないし、全部辞めてしまったら、もったいない。最近はカートも始め、楽しみながら走っている」と立川。メーカーの威信を背負って戦う第一線からは退いたが、根っからの“走り屋”。本業ではスーパーGTとスーパーフォーミュラのチームを束ねる立場だが、合間を縫って新たな挑戦を始める。

 これまで、24時間レースはスーパー耐久の十勝を2度制覇(1998、2000年)しており、ルマンも08年に出場経験がある。「長いレース独特のゴールした時の達成感は、成績に関係なく特別ですからね。今から楽しみ」。若いタイ人ドライバー3人と、FIA−F4を戦う卜部和久の先生役を務めながら、久しぶりのロングレースを満喫するつもりだ。