世界ラリー選手権(WRC)にトヨタガズーレーシング(TGR)で参戦する勝田貴元が14日、オンライン会見に臨み、優勝争いに加わりながら29位に終わった第5戦ポルトガルラリー(9〜12日)を振り返った。今回はマニュファクチャラーポイントの枠外、チーム4人目の選手としてエントリー。自身の速さをアピールすることに主眼を置いていた。

 本格的な競技が始まったDAY2で首位から4・7秒差の3位と快調だったが、DAY3の競技区間(SS)11を走った際、コーナー出口で車両を傷め、デーリタイア。それでも、勝田は「小さなミスで最終結果につなげられない課題は残ったが、(自分の速さは)出し切れた」と手応えを強調した。

 今季はWRC初勝利に向け、リスクに果敢に挑戦。2月の第2戦スウェーデンラリーも、秒差の優勝争いをしながら、DAY3のデーリタイアで45位止まりだった。「今回も2位や3位でいいというペースなら、そのまま走り切れたと思う。次のステップに進む重要なポイントに来ている」

 WRCを戦うトップ選手らは、誰もがリスクと紙一重で戦い、経験を積むことで「攻め」と「守り」の微妙なバランスを体に染み込ませていく。勝田はそれを会得して一皮むけるか、岐路を迎えている。今回、最も重要な速さはアピールでき、チームからも評価を受けた。いずれ必ず壁を乗り越え、頂点をつかむつもりだ。