◇25日 阪神3―0巨人(甲子園)

 ノーヒットノーランを食らった翌日は8安打で快勝。阪神が2日ぶりに「H」ランプをともしたのは初回、3番・森下の中前打だった。満員の甲子園は沸いたが、岡田監督の口を突いて出たのは叱責(しっせき)の言葉だった。

 「あれもう初回からホンマ、怒ったんやけど」。怒らせたのはヒットを打つ前だ。1死一塁、2ボール1ストライクから一走・中野がスタートを切り、森下は変化球にハーフスイング。中野は二塁で刺された。

 「バット振らんと。エンドランいうかな、簡単に見送ったからな」

 エンドランならバットに当てるか、悪くても空振りして盗塁を助けなければならない。森下の次打席が3回無死一塁で回ってくると、岡田監督は「このサインはこういうのって1回分からすために出した」と教育のサインを送った。初球。一塁から中野がスタートを切り、森下は変化球を振ってファウルにした。

 怒られた後の5回には3点目となるタイムリーを放った。バットで取り返すあたりが森下の頼もしいところだが、岡田監督は「3番いうのはつなぎとかいろんな意味で一番、何でもできる打順でないと」と、正しく導くことを優先する。

 戸郷に快挙を許した前夜は野手に「奮起」を求めた指揮官。「いろいろあった」1回をへての快勝にも、「奮起までいかんな。明日、もう1回や」と”追試”を課した。