◇25日 中日1―0ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)

 中日のアレックス・ディカーソン外野手(33)が25日のヤクルト戦(バンテリンドームナゴヤ)で来日1号ソロを放ち、1―0の勝利に導いた。開幕直後に腰痛でリタイアしたが1軍復帰2試合目で新外国人が持ち前のパワーをみせつけた。 余韻に浸るには、十分な滞空時間だった。2回無死、ディカーソンが、1ボールからヤクルト先発・ヤフーレが投じた真ん中チェンジアップを振り抜いた。美しい弧を描いた打球は右翼席へと飛び込んだ。

 「打った感触もよかったし、入ったと思ったね」。チームの本拠地でのアーチは5月1日のDeNA戦で細川が放って以来。大歓声を浴びながらダイヤモンドをゆっくりと一周。あいさつ代わりの来日1号ソロは、本拠地で5連敗中だったチームを救う値千金の一振りとなった。

 来日初となるお立ち台。「アレックス・ディカーソンです。きょうは来てくれてありがとう」とファンにあいさつ。「アメリカではなかなかない経験。ワールドシリーズやファンフェスタくらいしかない。一生忘れないよ」と喜んだ。

 異国の地に挑戦の場を移して迎えた今季は、開幕直後に腰を痛めて離脱。リハビリは患部に振動が伝わらぬよう慎重に歩くことから始まった。4月下旬に妻と2人の子どもが来日した際は、空港までの道中で座りっぱなしになることを考慮して出迎えにも行けず。家で待つ時間はいつもより長く感じた。「パパが試合に出る姿、いつ見られるかな?」。1歳と3歳の子どもたちの無邪気な言葉も心にチクリと刺さる。「情けないし、悔しいよ」。190センチの長身が背中を丸めていた。

 ただ、めげてばかりはいられない。リハビリ期間中は復帰後だけを考えた。チームの全試合をチェックして、打席でのイメージを膨らませた。「日本まで来てくれた妻や子どもたちにかっこいい姿を見せたいね」。復帰2戦目でヒーローになったパパはスタンドで喜ぶ家族に誇らしげに手を振った。