年に1回開催の豊橋市民球場で、旧交を温める場面があった。阪神ナインがグラウンドに姿を見せると、待っていたかのように竜の背番号「63」が寄ってきた。「板さん!」と元チームメートから声が飛ぶ。満面の笑みを浮かべていたのは、5日に育成から支配下契約をつかんだ、板山祐太郎だった。

 阪神のアップが三塁ベンチ前で始まるタイミングに、板山は三塁で走塁練習を開始。平田ヘッドコーチから「板さん、邪魔邪魔。敵だからね」と鋭いツッコミも入った。もちろん、冗談。その後はコーチ陣ともグータッチやあいさつを交わし、談笑していた。

 阪神の打撃練習中にはユニホームに着替え、岡田監督の元にもあいさつ。指揮官は「おぉ。同じ背番号か」と優しく話しかけた。中日といえば、山本が阪神戦で打率3割超え。板山も古巣相手に燃えるものがあるだろう。“敵”だから、虎の脅威にならないことを願うしかない。(今西大翔)