シミュレーションゴルフが日本より遙かに浸透している韓国。シミュレーションゴルフのプロツアーもあり、様々な大会が開催されているという。そんなシミュレーションゴルフツアーで無類の強さを誇るプロがリアルなプロツアーでも優勝を果たしたということで話題になっている。

KPGAツアーは7年ぶり2勝目

 韓国のプロゴルフツアーで“意外な”選手が優勝したことがちょっとした話題になっている。

 5月初旬に行われた韓国男子プロゴルフ(KPGA)ツアー「GSカルテックス」で、通算10アンダーで優勝した31歳のキム・ホンテク。同大会の優勝賞金は3億ウォン(約3000万円)、さらに5年シードが付与される伝統と歴史あるトーナメントというのもそうだが、実績が他のプロと違うことが注目ポイントだ。

シミュレーションゴルフツアーでは12勝を誇る絶対王者で、リアルゴルフのツアーでも7年ぶりの優勝を果たしたキム・ホンテク 写真提供:「GSカルテックス毎経オープン」大会組織委員会
シミュレーションゴルフツアーでは12勝を誇る絶対王者で、リアルゴルフのツアーでも7年ぶりの優勝を果たしたキム・ホンテク 写真提供:「GSカルテックス毎経オープン」大会組織委員会

 キムの愛称は「スクリーン(シミュレーション)ゴルフの皇帝」。

 韓国で開催されているシミュレーションゴルフのプロツアー「Gツアー」で通算12勝もしているプロゴルファーとして有名な選手なのだ。一方で、同時にKPGAツアーにも出場しているのだが、初優勝したのは2017年「釜山オープン」で、今回は7年ぶりに2勝目を手に入れた。

 つまり、シミュレーションゴルフでは敵なし。しかし実際のフィールドではなかなか勝てない時期が続いていたというわけだ。

 室内のシミュレーションの試合ばかりに勝っている選手が、実際のゴルフ場のプロツアーで勝てないのはカッコ悪い――と思う人もいるはずだが、その概念の今回の優勝でそれを覆したのがキムだった。

 スポーツ・芸能専門サイト「イーデイリー」は彼の特徴についてこう説明している。「身長173センチ、75キロというそこまで大きくない体格だが、長打がキム・ホンテクのもっとも大きな武器。彼は300ヤードを越えるドライバーショットで、常にドライビングディスタンス部門で上位に名前を連ねている。アイアンもうまい。ここ3年間はパーオン率も1位だった。ただ、パターが彼の弱点。それが今大会は速いグリーンにも対応し、正確なパットをみせていた」

 では、シミュレーションゴルフが、実際のゴルフ場でのプレーに役立つのか? そんな問いについて、キムはこう答えている。

「スクリーン(シミュレーション)ゴルフの練習が、実際のフィールドでのプレーと今回の優勝に大きな下支えとなった。スクリーンゴルフ大会で優勝争いをしてきたこと、さらにはコースマネジメントもしっかり練習できたことが優勝できた要因」

 彼は毎年、シードを保持することを気にかけていたが、今回の5年シードで「海外ツアー進出の準備をしてみたい」と明かしている。もし日本ツアーに来れば少しは話題になるかも。

キム・ミョンウ