ターゲットまでの距離を把握するうえで欠かせない距離計測器。ラウンド中に活用することで多くのメリットがある一方で、ビギナーにとってはスロープレーにつながる可能性も懸念されています。ゴルフ経験豊富なレッスンプロは、この問題についてどのように考えるのでしょうか。

距離計測器はビギナーも積極的に使うべき

 ある程度正確なショットを打てる上級者にとって、距離計測器を活用して残り距離を把握することは、コース戦略を考えるうえで重要な意味合いを持ちます。

 もちろん、残り距離を把握してプレーを進めることは、上級者に限らず有効な進め方ですが、ショットがなかなか安定せず距離通りに打つことが難しいビギナーの場合は、距離計測器の使用がかえって進行を遅らせてしまうことも。

 スロープレーにつながる可能性も十分考えられますが、ビギナーであっても距離計測器を使用したほうがいいのでしょうか。「プロだけが知っているゴルフ上達への道」でゴルフ知識を紹介している、レッスンプロの川端いっせい氏は次のように話します。

レーザー式の距離計測器はビギナーに不向き? 写真:PIXTA
レーザー式の距離計測器はビギナーに不向き? 写真:PIXTA

「ビギナーも距離計測器は積極的に使ったほうがいいです。ただし、ビギナーはレーザー式の計測器をラウンド中に使う余裕がないことも多いでしょう」

「そのため、ビギナーにはGPS機能が搭載された腕時計タイプの計測器がオススメです。これならば、その場でぱっと見ただけで残り距離を確認できるため、プレー進行が遅れることもありません」

 しかし、ビギナーが正確な距離を知ったとしても、狙った距離を打てないことがほとんどのはず。それでも距離計測器を使用したほうがいいと考えるのはなぜでしょうか?

 その理由について川端氏は、「成長速度の向上」と「失敗リスクの軽減」があると言います。

「ビギナーに限らず、距離の把握は正確にできたほうがゴルフの上達につながります。自分の狙った距離と実際に打った距離のギャップを知るのは、上達するうえで欠かせないものです。私が運営するスクールでも、距離計測器を使用している人としていない人では、前者のほうが早く成長する傾向にあります」

「また、複雑な地形のコースでは、ビギナーにとってクラブ選択の難易度が一気に上がってしまうものです。状況に応じた適切なクラブを選択できるようになるためにも、計測器を使って正確な距離を把握することが必要でしょう」

「打つべき距離を知ったうえでオーバーやショートしてしまった経験は、自分の中に“距離感”として蓄積されます。計測器の活用はこの距離感を養うためにも、とても役立つのです」

ビギナーの頃から残り距離を把握する習慣を

GPS機能が搭載された腕時計タイプならばスロープレーになることも少ない 写真:PIXTA
GPS機能が搭載された腕時計タイプならばスロープレーになることも少ない 写真:PIXTA

 川端氏は続けて「失敗リスクの軽減」について以下のように説明します。

「距離感がつかめていないビギナーは『だいたいこのぐらいだろう』と曖昧に捉えていることがあります。クラブが本来持っている性能を生かしきれていないことに気づいておらず、それを自分の飛距離だと思い込んでいるビギナーも多くいて、クラブの選択を間違えているケースも少なくありません」

「私自身もこれまでに芯にたまたま当たったショットが思った以上に飛びすぎて、ボールが池やバンカーに入ってしまったケースを幾度となく見てきました。これは残り距離を把握できていないことに加え、『どのクラブで何ヤード飛ぶのか』ということが明確になっていない場合に起こるミスです」

「このようなミスを防ぐためにも、距離計測器を活用してターゲットまでの距離を把握する習慣をビギナーの頃からつけましょう。失敗リスクの軽減にもつながりますし、スコアの向上にも効果をもたらしてくれるはずです」

 ビギナーによる距離計測器の使用については賛否両論ありますが、川端氏の見解としては積極的な活用を推奨しています。

 特にGPS機能のついた腕時計タイプの計測器であれば、その場ですぐに距離を確認できて、懸念されているプレーの進行遅れも少ないでしょう。また、自身の成長やスコアアップの観点からも大きなメリットがあるので、ビギナーでも距離計測器を活用する価値は十分あると言えそうです。

LUIS FIELD