東京・表参道駅周辺の喫煙所を管理する港区が回答

 分煙化が進む昨今、喫煙マナーがより問われるようになってきた。指定の場所以外での喫煙は“マナー違反”とされるが、「喫煙所の数が少なすぎる」といった声も多い。しかし、東京・表参道エリアには比較的多くの喫煙所が設置されている。なぜ人通りの多いこのエリアに喫煙所が多いのか。表参道駅周辺の喫煙所を管理する港区に、設置の意図や運用コストなどについて聞いた。

 人口密度の高い都内では、喫煙所から人があふれているような光景をたびたび目にする。しかし、喫煙所の設置・維持にはお金がかかることも事実。路上喫煙やポイ捨てを抑止するため、各自治体が予算の許す範囲でこの問題に取り組んでいる。

 また、たばこ税は一般財源に充てられ、日常生活の基盤の整備や、公共サービスの質の向上に利用されている(特別税を除く)。そのため、たばこ税すべてが喫煙者に還元されるわけではないのが実情だ。

 こうした状況の中、表参道では喫煙所の数の多さが目立つ。約1キロの間に10か所ほどの路上喫煙所(商店街振興組合 原宿表参道欅会が管理するものを含む)が設けられており、表参道駅周辺だけでも3か所設置されている。その意図について港区は「たばこを吸う方・吸わない方、双方に配慮した喫煙環境の整備及び環境美化施策に寄与するため設置しています」とコメントした。

 また、利用者や近隣住民からの声について「当該箇所はほかの喫煙所に比べ、観光客の流出入が目立つエリアのため、区外の方にも積極的に周知・啓発を行う旨のお声をいただいています」と回答。喫煙所の維持にかかる1か月当たりの費用については、「当該喫煙所内灰皿清掃費用:95万円程度(3か所合計)」としており、1か所の運用に30万円ほどかかることも明かした。

 さらに、喫煙所設置の具体的な効果についても「歩きたばこ・ポイ捨て減少に加え、路上喫煙者も減少傾向にあります。また、喫煙所をパーテーション型に設置していることで、たばこの煙が通行人にいきづらくなっています」と説明している。

 港区では「港区環境美化の推進及び喫煙による迷惑の防止に関する条例」で「みなとタバコルール」を定めており、たばこの吸い殻のポイ捨て及び屋外の公共の場所(道路、公園、児童遊園、公開空地等)での喫煙等が禁止。区内で暮らす人や働く人、訪れる人等、すべての人に「みなとタバコルール」を守ってもらうため、喫煙場所の整備のほか、周知・啓発、巡回・重点指導に取り組んでいる。

 周知・啓発については「各地区総合支所におけるキャンペーンの実施や、喫煙禁止にかかる路面シール貼り、プレートの掲示、東電タウンプランニングと連携した配電地上機器への啓発ポスターの掲出等を行っています」と紹介。

 巡回・重点指導においては「区内全域を巡回指導員が巡回しており、路上・歩行喫煙をしている人等に対し、指導・啓発を行っています。また、公道に煙が流れ出る原因となる場所に設置されている灰皿の移設・撤去指導等も行っております」と説明した。

 さまざまな取り組みを行っている港区だが、「周知・啓発の実施に当たっては、初めて港区に訪れた人や外国人観光客に、より一層『みなとタバコルール』を認知していただき、ルールを守っていただけるようにする必要がある」と課題も。今後について「『みなとタバコルール』を推進し、吸う人も吸わない人も快適に過ごせるまちを目指してまいります」とコメントしている。ENCOUNT編集部