最少文字数はたったの1文字?

 昨年で発売から40年を迎えた「ファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)」。記念すべき節目ということもあって特設サイトが開設され、そこでは「国民投票」という出題されたテーマで思いつくソフトの1位を決める企画が実施されている。第14回目には「『パスワード』といえば?」との主題で投票がおこなわれ、1位に『ドラゴンクエストII 悪霊の神々(48.8%)』、次いで『ドラゴンクエスト(10.6%)』『ROCKMAN2 Dr.ワイリーの謎(3.3%)』と続いた。そこで今回はファミコンのパスワードに注目し、中でも“面白パスワードが存在したソフト”を紹介しよう。

 そもそも初期のファミコンソフトはセーブ機能がなく、その代わりに画面上に表示されたパスワードを控える必要があった。それをコンティニュー時に入力することで、やめたところから再開可能に。当時は必死にメモをして、見間違いや書き間違いでパスワードが読み込まれなくて絶望したプレイヤーも少なくないだろう。

 そんなファミコン時代のパスワードだが、1986年にタイトーから発売された『たけしの挑戦状』には有名な面白パスワードが。本作はタレント・映画監督として有名なビートたけしが監修しており、そのたけしをけなすような文言である「たけしのあほ」とパスワードを入力すると、即ゲームオーバーに。またゲームオーバーの画面が“主人公の葬式”というシチュエーションで、たけしならではのシュールさを楽しめる。けなされることも前提にゲームを制作したと考えたら、「さすが毒舌漫才のビートたけし」と納得してしまう。

 また87年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から登場した『月風魔伝』は、ゲームクリアを諦めたプレイヤーにぴったりなパスワードを用意している。というのもパスワードで「おわりをみたいな おわりをみたいな」と入力すれば、即座にエンディング画面に移行してスタッフロールを確認できる。エンディングはゲームクリア後の達成感を引き立たせるもののはずだが、果たしていきなりラストの映像を見て楽しいのだろうか……。

 最後に取り上げるソフトは、87年にハドソンから発売された『桃太郎伝説』だ。本作はその名の通り、桃太郎を題材にしたロールプレイングゲームで、作中にはさまざまなパスワードが。例えば「すべてのてきがみたい」と入力すると、「ももたろう びじゅつしつ」という画面に飛んで、作中に登場した敵キャラを鑑賞できる。

 中でも有名なのが、最少文字数のパスワードである「ふ」。「ふ」と入力するだけで、主人公のステータスが強力な状態でゲームが始まる。同作はプレイ時間によって年齢が上がっていくシステムで、このパスワードを使うと55歳という高齢な状態で開始される。しかし、少し歩くだけで0歳に若返るところも魅力的だ。

 今回取り上げた面白パスワードは数多くある中の一部にすぎない。気になるタイトルがあれば、改めて調べてみてはいかがだろうか。カキMONO.1