日本のRVブームを牽引した1台である「トヨタ・ハイラックス・サーフ」。日本では4代目で販売が終了したが、北米では現在も「4ランナー」(4Runner)の名前で販売が続いている。その4ランナーが2024年4月に約15年ぶりのフルモデルチェンジを受け、6代目へと進化を遂げた。

初代と2代目にインスパイア

エクステリアは、歴代モデルからインスピレーションを得るとともに、最新デザインらしく未来的な要素も盛り込まれた。新型は、同じサイズのピックアップトラックのタコマとともにデザインされ、家族的な雰囲気を共有しながらも、独自のユニークさを備えている。初代と2代目の4ランナーに敬意を表し、サーフのレガシーとなるルーフの上まで回り込んだ「ラップオーバー」クォーターガラスを復活させた。

デザイン、利便性、機能性を兼ね備える

インテリアはデザイン性だけでなく、利便性、機能性の向上も図られている。インパネには、8インチまたは14インチの「マルチメディア・タッチスクリーン」が新たに採用された。トヨタ最新の「オーディオ・マルチメディア・システム」を表示。同システムは、ワイヤレスの「Apple CarPlay」と「Android Auto」のスマホ連携が可能で、Qi(チー)規格のワイヤレス充電パッドも用意している。シートは2列目の格納性を向上させ、使い勝手を高めている。

ランドクルーザー250と同じTNGA-Fプラットフォーム

プラットフォームは、「ランドクルーザー300」をはじめ、「タコマ」、フルサイズ・ピックアップトラックの「タンドラ」、タンドラ・ベースのSUVである「セコイア」と同様に、スチール製ラダーフレームを持つ「TNGA-F」が採用された。サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクとなる。

TNGA-Fプラットフォームにより、強度を高めるだけでなく、乗り心地やオンロードでの快適性も向上。その恩恵は、サードシートの乗員でも感じられるという。強化されたフレームにより北米でのニーズの高い牽引力を向上させ、最大約2.7トンまで牽引することが可能だ。

機動力の高さも新型の見どころだ。新たに装備された「スタビライザーバー・ディスコネクト・メカニズム」により、スイッチを押すだけでサスペンションのアーティキュレーション(路面追従性)を拡大できる。さらに、アプローチアングルは最大32度、デパーチャーアングルは最大24度とすることで、高い悪路走破性を実現するという。「マルチテレインモニターシステム」の搭載により、ドライバーの死角をサポートする。

2.4リッター・ターボでハイブリッドも有り

パワートレインは2.4リッター直列4気筒ターボが搭載され、最高出力278ps、最大トルク430Nmを発揮。トランスミッションは8段ATとなる。

さらに、システム合計で最高出力326ps、最大トルク630Nmを誇る2.4リッター直4ターボに、8段ATに内蔵された48psのモーターを組み合わされたハイブリッドも設定。1.87kWhのニッケル水素バッテリーパックを備える。

同ハイブリッドは、「TRDオフロード」と「リミテッド」に設定され、「TRDプロ」、「トレイルハンター」、「プラチナム」に標準装備する。

2WDから高性能4WDまで

駆動方式は、2WD、パートタイム4WD、フルタイム4WDが設定され、2WDモデルには「オートマチック・リミテッド・スリップ・デフ」(Auto LSD)が、4WDモデルには「アクティブ・トラクション・コントロール」(A-TRAC)と「オートマチック・リミテッド・スリップ・デフ」(Auto LSD)、ハイとローレンジを持つ電子制御2段副変速機が搭載されている。

加えて、「TRD Off-Road」と「TRD Pro」、「Trailhunter」グレードには、電子制御式ロッキング・リアディファレンシャルを標準装備。「リミテッド」と「プラチナム」のハイブリッド・モデルにはセンターロッキング・ディファレンシャル付きフルタイム4WDシステムが用意される。

運転支援装置も最先端

先進安全装備では、トヨタ・セーフティ・センス3.0の採用がトピックス。歩行者検知機能付プリコリジョンシステム、ステアリングアシスト付き車線逸脱警報、全車速域対応のダイナミックレーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシスト、道路標識アシスト、オートマチックハイビーム、プロアクティブ運転支援機能などが搭載されている。

グレード展開は、「SR5」、「TRDスポーツ」、「TRDスポーツ・プレミアム」、「TRDオフロード」、「TRDオフロード・プレミアム」、「リミテッド」、「プラチナ」、「TRD プロ」、「トレイルハンター」の9グレードとなっている。

2025年モデルとなる新型4ランナーは日本の田原工場で生産され、2024年秋に米国に導入される予定になっている。

文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)