ここ数年「金」の価格が上昇していることをご存じでしょうか。2023年8月に1グラム1万円を超える最高値を更新して以降、金の価格は上がり続けています。しかし、安全資産といわれる金も買い時を誤ると損する可能性があります。   そこで本記事では、金の値段が変わる理由や、金に高額な値段がつく理由などを解説します。

「金」の価格が高い理由

「金」は日々の取引で価格が変動します。金が高価格になる主な理由には、埋蔵量・有用性・資産性の3つが挙げられます。それぞれの理由について詳しく解説します。
 

金の埋蔵量と採掘量が少ない

人類がこれまでに採掘した金の量は約18万トンといわれています。また地球上にある採掘前の埋蔵量は約5万トンと推測され、毎年約3000トンを新たに採掘しています。今のスピードで採掘し続ければ、十数年後に金は枯渇する計算です。
 
一方、鉄の埋蔵量は約1700億トンといわれています。このことからも、金の希少性が高いことが分かり、それが価格に影響していると考えられます。
 

有用な金属である「金」の需要

金は古くから宝飾品として重宝されてきました。近年は金属としての有用性から、さまざまな機器の開発に使用され、実用的な需要も増しています。
 
しかし、市場取引される金の量は採掘できた量のみです。開発で使う金が不足すれば、金の値段は上昇します。
 

安全資産としても「金」は需要がある

金は資産の中でも安全性の高い資産として、高い需要があります。株式や債券投資では価値が0円となる可能性があります。また紙幣も株式や債券と同様に、国が破綻してしまえばただの紙切れとなってしまいます。
 
その点、金は実物資産であるため、価値がなくなることはありません。そのため、資産配分を考え、リスクの低い安全な資産として金を選ぶ人もいます。
 

「金」の値段が高騰する原因は?

金の価格変動は比較的安定していますが、過去にはさまざまな要因で高騰しました。2019年から2024年現在までに金の価格は約2倍に上がっています。過去5年間に高騰した時期には何があったのか、具体的な要因について紹介します。
 

政治的な要因

金は戦争や紛争、国家間の情勢によって価格が変動します。2022年のロシア・ウクライナ戦争では、世界的な情勢不安を引き起こし、金の価格を上昇させました。過去には、イラン・イラク戦争や湾岸戦争の際にも金の価格が変動する要因となりました。
 
戦争の予兆は現金が使えない状態になる不安から金の価格上昇を引き起こし、戦争が開始されると現金の確保のために金が売られて下落します。
 

経済的な要因

金はインフレに強い資産だといわれています。インフレとは、通貨で買える物の値段が上昇している状態を指します。例えば、インフレによって3%物価上昇が起こっている状況だと、100円で買えていた物が103円出さないと買えません。つまり、インフレは通貨の価値が下がっている状態です。
 
そのため、現在の世界的なインフレは金の価格上昇の要因といえるでしょう。
 

円安による要因

日本で金を購入する場合、円安は金の価格高騰に影響します。世界的な金の取引通貨は、ドルです。金1グラムが100ドルであっても、ドル円為替相場が120円であれば1万2000円で金1グラムを購入できますが、1ドル140円の場合は1万4000円で購入しなければなりません。
 
そのため、現在の円安は金の価格変動に大きく影響していると考えられます。
 

金投資はリスク分散にもつながる

今回は、金が高価格で取引される理由と、高騰する要因について解説しました。金は実物資産のため無価値になるリスクがなく、安全な資産の1つです。そのため、現金や株式だけでなく、金を持っておけば資産のリスク分散につながるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー