配偶者が亡くなったことでひとり身になった親がいる場合、子どもがその面倒を見ることになるケースは少なくないでしょう。   この場合、懸念事項となるのは生活費かもしれません。   一緒に住むことになった親が高齢で退職しているケースでは、年金以外に安定した収入がなく、家族の援助が必要になる可能性が高いです。   本記事では、高齢者の平均的な収入や支出をご紹介しつつ、生活費負担に関する基本情報を解説します。

高齢者の平均収入と支出

総務省統計局の「家計調査報告」によると、2023年度における単身無職世帯(65歳以上)の高齢者の平均収入は表1の通りです。
 
表1

実収入 金額
社会保障給付 11万8230円
その他 8675円
実収入合計 12万6905円

※総務省統計局「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 
一方、同調査報告における単身無職世帯(65歳以上)の高齢者の平均支出は表2の通りです。
 
表2

支出 金額
非消費支出
(税金・社会保険料など)
1万2243円
消費支出
(食料・住居・光熱・水道・家具・家事用品・被服・保健医療・交通など)
14万5430円
支出合計 15万7673円

※総務省統計局「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 
実収入と支出の差は、3万768円でした。
 
この調査報告の結果だけを見ると、働いていない高齢者世帯では収入よりも支出が上回っています。
 

高齢の親には一定の援助が必要な可能性が高い

総務省統計局の調査結果は平均的なケースであり、世帯によって状況は異なります。
 
親に潤沢な資産があったり、なんらかの不労所得があったりする場合は、同居する子ども夫婦からの援助は不要かもしれません。
 
一方で「年金だけでは生活が苦しい」と感じる高齢単身世帯も多く存在するでしょう。
 
少なくとも総務省統計局による調査では、生活費の不足が生じる場合が平均的な結果でした。
 
その場合、同居する子どもたちがなにかしらの生活費の援助を検討する必要があるでしょう。
 

生活費については事前の話し合いが大切

同居する際の生活費をどうするか決めるときは、以下のような点を考慮できます。

・親の収支状況や貯蓄額
 
・子どもの収支状況
 
・同居場所(親の住まいで同居するのか、子どもの住まいで同居するのか)
 
・生活スタイル(食事を一緒にするのか、別々の家電を使うのかなど)
 
・親の病院費や介護費などの費用

例えば、キッチンや冷蔵庫を別々にして各世帯で食事を済ませるのであれば、食費を世帯別に負担することが無難かもしれません。
 
病院やデイケアなどに通う場合は、親自身に自分の費用を払ってもらうという方法もあります。
 
どのようなケースであっても、同居を始める際によく計画することが大切です。
 
不満が出てくる前に話し合いの場を設けると、お互いに気持ちよく同居することができるようになるでしょう。
 

高齢になる親の生活費をどこまで負担するのかは家族で話し合って決めるとよい

働いていない高齢単身世帯の場合、年金だけでは足りなくなり、家族の援助が必要な場面が多いと考えられます。
 
生活費をすべて子どもが負担すべきか、あるいは親と負担しあうかは、それぞれの家庭の状況を見て判断する必要があります。
 
生活費の負担が原因で家庭内トラブルが発生しないよう、事前にしっかりと話し合いをするようにしましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 −2023年−(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー