<前編のあらすじ>

40代の大森結子さんは元保育士。腰を痛めて仕事を退職したことをきっかけに転職活動を始めますが、同時に家庭を築くという夢も追いかけようと結婚相談所へ入会しました。

美人でピュアな印象の結子さんにはお見合いの依頼が殺到しますが、なぜか交際に進むことができません。どうしてだろうと筆者が原因を探ってみると、男性側からNG理由を出されてしまうのは「わがままな性格」が関係しているようでした。

その後、ある男性とデートが決まったものの、今度は道に迷って目的地にたどり着けないと言います。駄々をこねて帰ろうとする彼女を引き留めて、なんとか目的地にたどり着いてもらおうとスタッフが必死に電話口で道案内をしました。

周囲を驚かせた結子さんの反応

さんざん周囲を困惑させた後、遅刻しながらもなんとか無事待ち合わせにたどり着いた結子さん。お見合いを済ませた彼女に感触を聞いてみると、ケロッとして「楽しかったです!」と連絡が入りました。

しかし、一生懸命道案内をしたかいがあったと思ったのもつかの間、次のように話を続けます。

「でも、もう少し行きやすい場所を選んでほしかった。しかも、デート場所は全然おしゃれなところではなかったんですよ。居酒屋みたいなところで、びっくりしました。もう少し高級なお店が良かったな……」

周囲の協力もむなしく、相手の悪いところを挙げて文句ばかり。こうして相手の好意に対して否定するようなことを言うのは、お見合いだけではなくデートでもしてはいけないことです。

結局、結子さんのわがままが原因となり、このお見合いも破談に終わってしまいました。

希望条件にぴったりな男性と交際開始

しばらく後、結子さんに別の男性との成婚チャンスが訪れます。

彼女のわがままには多くの男性が「NO」を突き付けましたが、ようやく交際を希望する方が現れたのです。それが佐々木航平さん(仮名・50代)です。

彼は地主の息子さんで相当のお金持ち。結婚したら共働きではなく家庭へ入ることを希望していた結子さんにとって、結婚生活でお金の心配がなく、かつ専業主婦になることを認めてくれる航平さんはこれ以上ないほど好条件の相手です。

ところが、その彼と数カ月の交際を経て結婚を申し込まれた時、結子さんは迷っていました。これもまたなんともわがままな理由です。

結子さんが結婚を渋る驚きの理由

航平さんがデートで連れて行ってくれる場所はすべて高級店で、1人数万円の食事は当たり前。会うたびにしてくれるプレゼントは、平均的なプレゼントとは桁が異なるブランド品ばかりです。

彼は彼女をとても気に入って愛情を示してくれたにもかかわらず、結子さんが結婚を渋る理由――それはなんと「航平さんの髪が薄いから」というものでした。

お互いの条件はぴったり合っているのにどうしたものかと解決策を探っていたところ、ついに彼女は自分で彼に「かつらをかぶって!」と提案します。航平さんは優しく素直な方だったので、「君がそうしてほしいならそうするよ」と言って、かつらを購入して着用するようになったのです。

なんとか破局の危機を乗り越えた2人。結婚を真剣に考えたので、いよいよお互いの両親に会う段取りになりました。

ただ結子さんは挨拶の仕方を知らず、礼儀に欠けるところがあったので、私どももアドバイスをしながら心配していましたが、なんとその不安が的中してしまいます。

航平さんの両親と顔合わせをした後、航平さん側から厳しい反応が返ってきました。詳しく話を聞いてみると、彼女が年齢の割にきちんとした挨拶ができないことにお母さまがあきれてしまったと言うのです。

「いい年をして恥ずかしい」

男性の母親にそうまで言われてしまった結子さん。結局、大反対をされてこのお話も破談になりました。

結子さんのその後

結子さんはほどなく別の男性と新しいお見合いをして順調に交際まで進みました。

しかし、前のお金持ちの彼と比べてしまい「連れて行ってくれるのは安い店ばかり。せっかくのデートなのにもっと高級店に連れて行って」とだんだんと雲行きが怪しくなっていきます。このままでは前回と同じく破談になってしまう! と、スタッフ一同で説得して彼女のわがままを落ち着かせました。

そうしていよいよ彼のご両親と顔合わせをすることになったので、前回の反省を踏まえて、挨拶をきちんと練習すること、今回はあまりしゃべらないこと、にこにこしていること、彼に頼ることを提案しました。

そのかいあり、今回は親御さんも結子さんを気に入ってくださり、ようやく成婚に至りました。

お見合いでしてはいけない5つのこと

何度も失敗を繰り返しようやく成婚に至った結子さん。実は彼女、婚活におけるNG行動をいくつも繰り返してしまっていました。ここで婚活における5つのNG行動の内容を見ていきましょう。

①写真を加工する

お見合いでは必ず写真が必要になりますが、極端な加工をしてはいけません。例えば目を大きくしたり顔を小さくさせたり。直接会えば分かることですから、自分を盛ってはいけません。

②遅刻する

お見合いでは相手が遅刻をしても待つのは15分というルールがあります。道を間違えたり、迷子になったりして、遅刻をする人は一定数います。電車の場合、点検や事故、天候や天災などで遅延するので、それは仕方ないとされていますが、急な仕事や家族の事故や不幸などであれば、お見合いの時間になる前に必ず連絡をしましょう。

③相手の文句を言う

お見合い場所でお会いしても「私は30分も早く来ていたのに、5分も遅刻をするとは何事だ」と怒りだす人もいます。早く来たのはその方の自由です。もちろん5分遅刻したのは悪いですが、それほど強く責めるのは好ましくありません。また服装や髪形をけなす人もいます。好みは大切ですが、相手の気持ちを考えることも大切です。

④「ここが合わない」と決めつけてしまう

お見合いをしている最中に、相手とは合わないと決めつけてしまうケースもあります。でも、会ったその日から相性抜群! と分かる人の方が少ないのです。「なるほどこういう考え方もあるのか」「自分には考えつかなかった」と前向きに捉えることが大切です。

⑤礼儀がなっていない

お見合いは初対面ですから、挨拶がとても重要になってきます。挨拶は最低限のマナーですし、相手もしっかりと見ているものです。きちんと挨拶ができないと、お見合い相手だけではなく親御さんからも嫌われてしまうことがあります。

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もちろん初めからNG行動をせず失敗しないことが何よりです。ですが、例えばお見合いやデートで失敗を繰り返したとしても、心配しすぎることはありません。結子さんのように、失敗から自分のマイナス点を見つけて修正をしていけば、結婚に至るケースは少なくありません。失敗から学び、改善しようとする姿勢がとても重要です。