■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
コーユーレンティア<7081>の2023年12月期の連結業績は、売上高30,960百万円(前期比18.2%増)、営業利益2,443百万円(同0.5%増)、経常利益2,478百万円(同2.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,604百万円(同28.4%増)、EBITDA4,271百万円(同7.3%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が高いのは、特別利益に投資有価証券売却益を計上(前期は特別損失に投資有価証券評価損を計上)したことが主な要因だ。
売上高は、既存事業が各分野とも堅調に推移したことに加えて、2022年4月に子会社化したジービーエス等3社(現イノテックスビジネスソリューションズ)の売上高が通期(前期は9ヶ月)寄与したことなどから初めて300億円の大台を超えた。一方で、売上総利益率は40.5%(前期43.9%)と前期比で低下したが、レンタル資産増に伴う償却原価の増加、棚卸資産の評価損の計上、比較的利益率が高いBPO(Business Process Outsourcing)案件の減少、利益率が低い物販の売上比率の上昇などによる。ただし、増収により売上総利益は前期比9.0%増となった。販管費は、主にICTを中心に将来の拡大を見込んで人員を積極的に増やしたことなどから、前期比11.3%増となった。その結果、営業利益は前期比0.5%増に留まった。
営業利益の増減要因を分析すると、ICT事業を除いた増収による増益が1,795百万円、ICT事業の増収による増益が394百万円、ICT事業以外の備品償却増による減益が178百万円、ICT事業の備品償却増による減益が90百万円、ICT事業ののれん償却による減益が20百万円、ジービーエス等3社の販管費増(3ヶ月分)による減益が639百万円、売上総利益率の低下による減益が793百万円、人件費の増加による減益が391百万円、棚卸資産の評価損による減益が65百万円であった。
人件費の増加は、既存事業の営業力強化や新規事業の展開に伴う人材採用に加えて、ジービーエス等3社の連結化を含めたICT事業強化とそれに伴う人件費の増加による。同社では以前から「ICT事業においては、まずは売上高の増加を優先する方針なので、これらの費用増は、将来の事業拡大に向けた投資と捉えており、全く問題はなく想定内である」と述べている。
2. セグメント別状況
(1) レンタル関連事業
売上高は前期比10.9%増の18,361百万円、営業利益は同2.4%減の1,777百万円、営業利益率は9.7%(前期11.0%)となった。大型案件の受注が順調に進んだことから売上高は大幅増となったが、投資増に伴う償却増や利益率の高いBPO案件の減少により営業利益は減少した。ただし、減益は当初から予想されていたことであり、結果は予想を上回る着地となった。
建設向けの売上高は9,619百万円(前期比13.9%増)となった。大型開発案件や設備投資関連が稼働したことなどから増収となり、全体をけん引した。イベント向けの売上高は3,596百万円(同29.0%増)と堅調に推移した。G7サミット等の大型案件を獲得したことに加え、レギュラー案件も復調してきたことから売上高は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の水準に回復した。オフィス向けの売上高は3,564百万円(同12.6%減)と減収となったが、主にコロナ禍の収束でBPO案件が減少したことによる。
2023年12月末時点の稼働率は81.1%となり、ほぼ適正レンジ(75%〜80%)内に収まっている。
(2) ICT事業
売上高は前期比29.0%増の3,912百万円、営業利益は同13.1%減の413百万円、営業利益率は10.6%(前期は15.7%)となった。M&Aや企業再編により獲得した顧客基盤を拡大したことから売上高は計画どおり大幅増となったが、利益面では先行投資に伴う償却増や人件費を含む販売経費増などから利益率が低下し、営業減益となった。ただし、期初から売上拡大を優先する方針であったことから、この減益は想定の範囲内であった。
サブセグメント別売上比率は、ICTレンタル44%(前期43%)、ドキュメントサービス32%(同33%)、販売15%(同16%)、施工9%(同8%)であった。
(3) スペースデザイン
売上高は前期比14.9%増の4,983百万円、営業利益は同27.3%増の179百万円、営業利益率3.6%(前期は3.2%)となった。マンション市場は縮小傾向にあるものの、高単価、高付加価値商品の拡充により売上高・利益が拡大した。また新規事業のオフィスリノベーションも堅調に推移した。
サブセグメント別売上比率は、設計・施工40%(前期39%)、ファーニチャーレンタル24%(同24%)、オプション販売29%(同31%)、リノベーション7%(同6%)であった。
(4) 物販
売上高は前期比64.3%増の3,702百万円、営業利益72百万円(前期は9百万円の損失)、営業利益率1.9%となった。新紙幣に対応した金銭機器の更改需要に加え、官公庁市場の再編・移転に伴うFF&Eの受注が堅調に推移して売上・利益拡大に寄与した。 民間企業向けのオフィス移転サービスも好調に推移し、事業全体で黒字に転換した。
サブセグメント別売上比率は、郵政48%(前期39%)、官公庁35%(同37%)、民間17%(同24%)であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
レンティア Research Memo(5):売上高は前期比18.2%増で初の300億円超。営業利益は微増だが想定内
関連記事
あわせて読む
-
NYダウが初の4万ドル超えも…日本では急速な円安で企業の63.9%が「利益にマイナス」と回答
TBS NEWS DIG5/20(月)18:16
-
C&R社 Research Memo(12):配当性向30%水準を目安に連続増配を継続中、自己株式取得を適宜検討
FISCO 株・企業報5/20(月)17:12
-
C&R社 Research Memo(11):2026年2月期の業績目標は売上高605億円、営業利益56.5億円
FISCO 株・企業報5/20(月)17:11
-
ロシア産原油輸入、3割増=制裁で価格下落、買い増しか―中国
時事通信5/20(月)17:10
-
C&R社 Research Memo(10):円安メリットを生かして海外ゲーム市場の開拓に注力
FISCO 株・企業報5/20(月)17:10
-
C&R社 Research Memo(9):2025年2月期は2ケタ増収増益と過去最高業績の更新を目指す
FISCO 株・企業報5/20(月)17:09
-
アングル:海外短期筋が日本株買い転換の観測、個人の売りと綱引き
ロイター5/20(月)17:08
-
C&R社 Research Memo(8):財務内容は良好、ネットキャッシュは89億円と過去最高水準に積み上がる
FISCO 株・企業報5/20(月)17:08
-
C&R社 Research Memo(7):クリエイティブ分野(日本)と会計・法曹分野が増収増益に(2)
FISCO 株・企業報5/20(月)17:07
-
-
C&R社 Research Memo(6):クリエイティブ分野(日本)と会計・法曹分野が増収増益に(1)
FISCO 株・企業報5/20(月)17:06
-
C&R社 Research Memo(5):2024年2月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を連続更新
FISCO 株・企業報5/20(月)17:05
-
C&R社 Research Memo(4):39万人超の人材ネットワークを構築し、5万社の顧客にサービス提供
FISCO 株・企業報5/20(月)17:04
-
C&R社 Research Memo(3):様々なプロフェッショナル分野においてライツマネジメント事業等を展開
FISCO 株・企業報5/20(月)17:03
-
C&R社 Research Memo(2):プロフェッショナル分野に特化したエージェンシーでM&A戦略で事業領域を拡大
FISCO 株・企業報5/20(月)17:02
-
C&R社 Research Memo(1):AI/DX分野等で2025年2月期も過去最高業績の更新を目指す
FISCO 株・企業報5/20(月)17:01
-
TKP Research Memo(10):今後の成長に向けた投資を優先すべきフェーズにあり配当は見送られる可能性が高い
FISCO 株・企業報5/20(月)16:50
-
TKP Research Memo(9):貸会議室事業と宿泊事業を2本柱として本格的に成長軌道に回帰させていく計画(2)
FISCO 株・企業報5/20(月)16:49
-
TKP Research Memo(8):貸会議室事業と宿泊事業を2本柱として本格的に成長軌道に回帰させていく計画(1)
FISCO 株・企業報5/20(月)16:48
-
経済 アクセスランキング
-
1
中国人留学生が悲鳴、「実家から仕送りしてもらえなくなった!」―北米華字メディア
レコードチャイナ5/20(月)7:30
-
2
「このままだと年金が減ります」60代専業主婦が驚愕…年金事務所で判明した「信じられない展開」
Finasee(フィナシー)5/20(月)11:00
-
3
じもとHD、金融庁の管理下に 議決権63%取得へ、地銀で初
共同通信5/20(月)12:04
-
4
キャベツやブロッコリーの価格高騰、天候不順で2倍以上の400円超も…端境期の今がピークか
読売新聞5/20(月)15:00
-
5
セブン、ミスド、ドンキ……期限切れを気にしないでいい「株主優待」銘柄
dメニューマネー5/20(月)7:15
-
6
中国の輸出「受注は回復、価格は下落」のジレンマ 広州交易会の出展企業から過当競争への嘆き節
東洋経済オンライン5/20(月)13:00
-
7
キリン、塩味強めるスプーン発売 食品に微弱電流、味わいを変化
共同通信5/20(月)17:16
-
8
東証は反発、終値3万9069円 米株4万ドル超え受け買われる
共同通信5/20(月)15:13
-
9
「未納はないはずなのに…」会社員の夫を持つ専業主婦が“年金減額”を宣告された「まさかすぎる原因」
Finasee(フィナシー)5/20(月)11:00
-
10
大企業の賃上げ率5.58%、33年ぶり高水準 今春闘、経団連集計
朝日新聞5/20(月)14:07
経済 新着ニュース
-
神鋼、高炉1基を電炉化へ 兵庫・加古川、EV用の生産計画
共同通信5/20(月)18:35
-
ゆうちょ銀高岡店元社員が4千万円持ち出し
共同通信5/20(月)18:30
-
日米欧と台湾の樹脂は不当廉売? 中国が調査、制裁関税など牽制か
朝日新聞5/20(月)18:30
-
ゆうちょ銀行の支店部長、金庫から4千万円窃取して懲戒解雇
朝日新聞5/20(月)18:27
-
次世代車、日本勢シェア3割目標 政府がデジタル戦略策定
共同通信5/20(月)18:23
-
ベビーフードに異物混入で約9万5000個を自主回収 アサヒグループ食品
テレ朝news5/20(月)18:23
-
キハダマグロの漁獲上限、現状維持
共同通信5/20(月)18:22
-
フリーランス保護の新法、11月1日施行へ 悪質な場合は罰金も
朝日新聞5/20(月)18:22
-
和光堂ベビーフード5商品、9万5000個を自主回収…フッ素樹脂混入
読売新聞5/20(月)18:22
-
NYダウが初の4万ドル超えも…日本では急速な円安で企業の63.9%が「利益にマイナス」と回答
TBS NEWS DIG5/20(月)18:16
総合 アクセスランキング
-
1
バンド「NEE」ボーカルくぅさん死去 享年25 「彼の勇姿については素材ある限り伝えていけるようにしたい」
ORICON NEWS5/20(月)12:40
-
2
東京で目撃相次ぐピンク色の不気味な着ぐるみ…正体は外国人アーティスト?「怖い」と否定的な声多く
まいどなニュース5/20(月)12:01
-
3
【速報】バイク運転の20歳とみられる男性が死亡 大阪府警の覆面パトカーと衝突 サイレン鳴らし進入 大阪市中央区
読売テレビニュース5/20(月)14:28
-
4
偉業のダルビッシュ「日本全体が優しく育ててくださった」NHKに気遣いも「大谷君のやつをやめてまで…」
スポニチアネックス5/20(月)11:22
-
5
イランのライシ大統領と外相、搭乗ヘリの事故で死亡…国営テレビ
読売新聞5/20(月)14:08
-
6
東出昌大、杏との離婚から約4年 再婚の可能性は?に言及「しみったれたことを言うようだけど…」
スポニチアネックス5/20(月)15:24
-
7
つばさの党は新タイプのカルトか? 幹部3人逮捕で分かった奇妙な「集団生活」の実態
日刊ゲンダイDIGITAL5/20(月)10:58
-
8
ケガやコロナだけが理由ではない…伊勢ケ浜部屋の所属力士41人中、約半数が休場のワケ
日刊ゲンダイDIGITAL5/20(月)9:26
-
9
「親は何してる?」USJで子どもたちが禁止エリアに続々乱入、スタッフ必死の呼びかけも虚しく…動画が拡散
まいどなニュース5/20(月)7:45
-
10
岩田剛典、井浦新、板谷由夏、本田翼などなど…ドラマで掛け持ち出演する俳優が急増しているのはなぜか
デイリー新潮5/20(月)11:13
東京 新着ニュース
東京 コラム・街ネタ
-
カープ球団が一番言われたくない「カープ人気凌ぐ!」サンフレ×エディオンピースウイング広島のインパクト!やがて紫のスタンドのサポーターらが原爆死没者慰霊碑に大勢向かう日がやってくる
ひろスポ!5/20(月)17:30
-
都営地下鉄、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー沿線の魅力ある商品のセレクトショップ「とえいろ」オープン
TOKYO MX+(プラス)5/20(月)17:00
-
北区内で浅見光彦・謎解きイベント 今年のスタート地点は田端
みんなの経済新聞ネットワーク5/20(月)16:43
-
自由が丘でバリ人画家のワヤン・シーラさん個展 フクロウ作品37点
みんなの経済新聞ネットワーク5/20(月)16:40
-
山形の置賜紬と落合陽一の邂逅。東北の伝統工芸が国内外のアーティストコラボでどう変わる?
コロカル5/20(月)16:10
特集
記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C) 2024 FISCO Ltd.