反抗期の高校生の息子を持つ友人から聞いた話です。反抗期で家ではろくに話もせずいつもイライラしていて何を考えているのかわからず困っていましたが、ある時、電車の中で照れくさそうにしながらも席を譲っている姿を目撃。しかも、その後のイケメンすぎる対応に涙が……。

電車内で息子を発見

高校生の息子は反抗期の真っただ中。家では私が何を聞いても「うるさいな」「ほっておいて」しか言わずろくに口もきいてくれません。

普段息子が何を考えているのかわからず、学校などでもうまくやっているのか母親としては本気で心配していました。

ある日電車に乗った際、窓際に立っていたら隣の車両に座っている学校帰りの息子を見つけました。
仏頂面で、イヤホンで音楽を聴きながらスマホを見ている姿は家にいるときと同じです。

息子には気づかれないようにそっと見ていると、そこに妊婦さんらしき女性が乗って来ました。

席を譲る息子の姿

ちらりと目線を上げた息子でしたが、反抗期で照れ屋の息子なので、そのまま見て見ぬふりをするのかなと思いました。

ですが、母の予想に反して息子は恥ずかしそうにしながらも、ぶっきらぼうな態度ではありましたが、その女性に向かって何か言葉をかけ、すぐに席を譲ってあげたのです。

普段の家での息子の様子からしたら、そんな姿を見ただけで母としては嬉しくて、誇らしく思いました。

ですが、その後さらに続きがありました。席を譲ってすぐに次の駅で息子は電車から降りたのです。

イケメンすぎる対応に涙

最寄り駅でもないのにどこに行くのかな? と、不思議に思って息子の姿を追っていると、電車を降りた息子はそのまま急いで私が乗っていた隣の車両に移り乗ってきたのです。

ちょうど私のことは見えていないようで、息子には気付かれていませんでした。

妊婦の女性に席を譲るのに、反抗期の息子はきっと照れくさかったのでしょう。
「次の駅で降りるので」と言って席を譲ったのだと、息子の性格を知る私はすぐに気が付きました。

恥ずかしさもありつつ、相手に気を使わせずにスマートに席を譲った息子の思いやりというか、気遣いにも心を打たれ、涙が出そうになった出来事でした。

家では反抗的な息子ですが、不器用ながら人に優しくできる子に育ってくれていることに心から安堵しました。あの日見た息子の恥ずかしそうな顔は今でも忘れられません。

もちろん、この出来事を私が見ていたことは息子は知りません。私だけが知る息子の思い出です。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kumi.M