◆米大リーグ ドジャース8―2マーリンズ(7日・米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・山本由伸投手(25)が7日(日本時間8日)、マーリンズ戦に先発し、メジャー最長の8回5安打2失点の好投を披露。自身4連勝で4勝目を挙げた。“4度目の正直”で本拠地初勝利を挙げた。ストライク率75%超という異次元の制球力と多彩な球種でマーリンズ打線を翻弄(ほんろう)。NPBで史上初めて3年連続MVP&沢村賞を獲得した右腕が、本領を発揮し始めた。

 雄たけびを上げた。6点リードの8回2死一塁。山本はデラクルスを空振り三振に仕留め、感情をむき出しにした。渡米後最長の8回を投げ、5安打2失点で挙げた4勝目は、うれしい本拠地初勝利にもなった。「少ない球数で長く投げられるのは一番理想的だと思ってるので」と胸を張った。

 幕開けは思わぬ形になった。初回先頭・チザムに対する第1球。95・4マイル(約153・5キロ)の直球を右翼席に運ばれた。連続無失点は15イニングでストップ。だが、落ち着いていた。味方が逆転した直後の2回2死で8番・ブルーハンへの2球目がボールになるまで、プレーボールから19球連続ストライク。MLBスタッツは公式Xで「2000年に投球追跡データが始まって以来、ドジャースの投手はこのような記録を残していない」と“球団史上初”だったことを伝えた。

 97球のうち75・3%の73球がストライク。「心がけていることはいつも通りでしたけど、たまたまいいところに投げられていたかな」と無四死球投球にもケロリとしたが、90球超を投げてストライク率70%以上は8試合で3度目。メジャー初登板となった3月21日のパドレス戦では同53・5%だった。フォームの修正やマウンドへの対応が進む証しだ。前回登板から“解禁”したスライダーに加えて、この日はツーシームも新たに交ぜた。最速96・4マイル(約155キロ)の直球にカーブ、カットボール、スプリットで試合を支配した。

 チームは最近15試合で13勝。貯金も今季最多の12とした。ロバーツ監督は山本を「ファンタスティック! 初球のホームランから逃げることなくカウントを取りにいき、相手の積極的なところを逆手に取っていた」と、クレバーな投球を絶賛した。

 前回登板後、「大谷さんには僕が投げる時に打ってほしいな」と先輩に“おねだり”していたが、この日はかなわず。8回を投げ終えると大谷から声をかけられた。「(最後に)三振取れて良かったな!」。背番号18にしては少ない5奪三振。大谷にいじり返されたようだが、これも2人の近い関係性を示す。日本人コンビが最強ドジャースを支えている。(中村 晃大)