◆オークス追い切り(15日・美浦トレセン)

 第85回オークス(19日、東京)の追い切りが15日、東西トレセンで行われた。2冠を目指す桜花賞馬のステレンボッシュは、美浦・Wコースで併せ馬。国枝栄調教師(69)は「アパパネ、アーモンドアイと同じくらい順調」と仕上がりに自信を見せた。

 王者として臨むオークスの舞台へ、万全の態勢と言っていい。ステレンボッシュは美浦・Wコースで併せ馬を実施。6ハロンは83秒6と目立たなかったが、国枝調教師が「見た目にも遅いと思ったから無線で指示をして少し急がせた」とゲキを入れると馬なりのまま素早く反応。4ハロン50秒9、3ハロン35秒6と、戸崎が騎乗した1週前追い切り(4ハロン51秒3、3ハロン36秒9)よりも速いタイムを記録した。

 直線で内に進路を取ると4馬身あまり追走した僚馬にはわずかに遅れたが、ラスト1ハロンは11秒4と軽快な伸びを披露。トレーナーは「落ち着いているし、折り合いも全然問題ない。タイムを出しても大丈夫。至って順調です」と、胸を張った。

 今回のコースは前走から800メートルの延長となる東京2400メートルだが、陣営は一切の不安を感じていない。トレーナーが「落ち着きがあって、慌てないところが長所だからね。折り合いも全然問題ないし、ピッチで走る馬じゃない。大丈夫だと思う」と話せば、戸崎も「ベストかは分からないけど、同世代だし問題ないと思います」と静かに自信をのぞかせる。母がJRAの芝1800メートル以上で3勝したブルークランズ、父は13年菊花賞、14年ジャパンCを勝ち、中長距離路線で活躍したエピファネイアという血統背景からも、距離延長がプラスなのは間違いないだろう。

 能力、状態、コースと三拍子そろい、2冠へ向けて死角はない。トレーナーも「これからの活躍次第だけど、現時点ではアパパネ、アーモンドアイと同じくらい順調だよ」と、同厩舎の偉大なる3冠馬と並べて最大限の賛辞を贈る。初コンビの鞍上に対しても「当たりが柔らかいから、牝馬には合っていると思う。それに、あれだけの騎手だからね。普通にスタートを決めて、ある程度のポジションから脚を使ってくれれば」と、期待を寄せた。名伯楽が送り出す“第3の名牝”から目が離せない。(角田 晨)

戸崎「このような素晴らしい馬に巡り合えて幸せ」

 ―ステレンボッシュの1週前追い切り(8日)に騎乗した際の感触はいかがでしたか?

 「やっぱりいい馬だと感じました。フットワークのバネもいいし、筋肉の質もいい。馬もできているし、自信を持っていってもらえたらとお話をさせてもらいました」

 ―桜花賞馬の騎乗依頼はどう受け止めていますか?

 「責任重大だなと。2、3冠目を狙えるのはこの馬しかいないですからね。責任はすごく感じるなと言うところです」

 ―どのようなレースプランを描いていますか?

 「枠が出てから考えるタイプなので、今は特に考えていません。この馬にとって、枠はどこでもいいと思いますよ」

 ―オークスは過去に3度の2着(13年エバーブロッサム、15年ルージュバック、16年チェッキーノ)があるレース。

 「もちろん、勝ちたい気持ちでいっぱいです。またこのような素晴らしい馬に巡り合えて、幸せに感じます。結果で応えられるように頑張りたいと思っています」