鶴岡東高(山形)のサッカー部コーチに、かつてJ2山形でFWとしてプレーした根本亮助氏(43)が就任した。現役そして指導者として計25年間お世話になったクラブを離れて地元に戻り、高校時ともにプレーした三浦裕生監督(43)とコンビを組む“決断”をした。山形県勢は全国高校選手権で17大会連続初戦敗退中。自身の経験を選手たちに伝えて母校を再び輝かせ、“全国1勝”を目指していく。

(取材・構成=有吉 広紀)

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 2月1日から指導を開始。選手たちと毎日のように顔を合わせ、ボールを蹴って多くのことを伝えている。

 「毎日充実感があります。選手が一生懸命プレーしてくれて、どんどん成長しているので、ものすごくやりがいがあって楽しくてしょうがない」

 現役時そして引退後の指導者を含め、モンテディオ一筋25年。お世話になったクラブを離れて地元へ、母校へ戻ってきた。

 「母校に恩返ししたい、という気持ちでモンテディオを離れた。選手の頃から育ててもらって、アカデミーで指導することでいろんなことを覚えさせてもらって、指導者としての自分があるのはモンテディオのおかげだと思っています。すごく感謝しているのと、その経験を生かして全国大会に出るため頑張りたい」

 三浦監督とは同級生。高校時2トップを組んでいた仲というのも今回の決断に影響はあった。だがそれ以外にも、ある“直感”があったという。

 「(監督から)強くしたいので力を貸してほしいという話はこれまでもあって。今年44歳になるんですけど、そういう時期なのかな、と。まだギリギリ体も動きますし、自分でやって(選手たちに)伝えられる。チャレンジしたい、やってみたいと思ったんです」

 チームは昨年11月、県新人戦で優勝。決勝戦を現地で見て、選手たちの持つ可能性を感じたという。

 「レベルの高い選手がいっぱいいて、いいチームだな、教えてみたいなと試合を見ていてすごく思った。攻撃的なセンスのある子が多くて、言われたことに対する反応もいい。サッカーIQが高いと感じました」

 技術のある選手たちに、自分自身が感じた大事なことを伝えたいという。

 「プロはうまいだけじゃ通用しないところがある。うまさプラス強さ、たくましさが必要。当たり前のことを当たり前にできないといけない。彼らのいいところに自分の経験を伝えていけたら、より強くなるんじゃないかと頑張っているところです。うまくなっているという印象もあるし手応えも感じているので、このまま積み上げていけたら」

 チームの戦い方にもこだわりがある。

 「チームのためにハードワークする、ゴールを目指すし、ボールを奪いにいくし、ゴールを守る。目的は忘れないでサッカーしてもらいたい。90分通してひたむきにサボらずに、どれだけ一生懸命できるか。1試合通して続けられるように習慣化しないとダメなことだと思う。僕はサボるのが嫌いなので」

 これからともに戦っていく選手たちに、一番大事にしてほしいことを聞いた。

 「自分のストロング(武器)をみつけてそれを発揮してもらう、チームにフィットさせながら自分の個性を生かしてもらう。チームのために一生懸命やってくれて、自分の個性を出してくれれば、それはその子の持ち味ですから」

 7月の全国高校総体(福島)そして2003年度大会以来となる選手権出場を目指し、全国舞台で白星をつかみ取るため、経験したこと全てを伝えていく。

  ◆根本 亮助(ねもと・りょうすけ)1980年8月24日、山形・鶴岡市生まれ。43歳。鶴岡三中から鶴商学園(現鶴岡東)に進み、99年にJ2山形入り。2008年に現役引退、翌09年から山形のアカデミーコーチに就任した。ジュニアユースの監督やコーチ、ユースコーチや普及コーチなどを務め、今年2月から鶴岡東コーチに就任。現在、県内各地でサッカークリニックを開催中。現役時は169センチ、63キロ。J2通算224試合41得点。