仕事の結果は、「行動の量」と「行動の質」によって変化する。とくに「行動の量」は客観性が高く、成果が低い原因が特定しやすい。キーエンス出身で現在はスタートアップ企業のアスエネでCOOを務める岩田圭弘氏は「『仕事の量』を高めるほうが、『仕事の質』を高めるよりも容易」という。本連載では、『数値化の魔力“"最強企業”で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』(岩田圭弘著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集し、仕事の結果を最大化する“キーエンスの数値化”を紹介する。

 第3回は、「行動の量」から仕事を改善していく理由を解説する。

<連載ラインアップ>
■第1回 毎日の業務を数値化すると、なぜ“10倍速の成長”が可能になるのか
■第2回 “会社から与えられた目標”をゴールに設定すると、なぜ未達に終わるのか
■第3回 仕事の成果が低い時、「能力不足かも」と悩む前にすぐやるべきこととは?(本稿)
■第4回 「行動の量」を増やすことが、“根性論”にならない理由とは?
■第5回 「行動の量」を増やしても、残業が増えない発想とは?
■第6回 なぜ、「数値目標が設定しにくい業務」の数値化が重要なのか?
■第7回 部下を“茹でガエル”にするマネジャーの、典型的なチームの状態の捉え方とは
■第8回 数値化が苦手なマネジャーは、なぜ感情的に部下を叱るのか?(6月24日公開)

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「質」より、まずは「量」を改善するのが基本

 改めてですが、「仕事の結果=『行動の量』×『行動の質』」でした。「仕事の結果」を最大化し「仕事ができる人」になるために、皆さんは「行動の量」と「行動の質」を最大化する必要があります。

「行動の量」とは、たとえば営業の場合、どれだけ多くのアポを取ったか、どれだけ多くの商談を行ったかですし、マーケティングであればどれだけの見込み客にリーチできたかなどです。

 人事であれば、どれだけの応募数を集めたか、広報であれば、どれだけの数のプレスリリースを出したかです。

 すべて、「量」で表せるものです。

 一方、「行動の質」は、営業であれば商談のうまさ、プレゼン資料のわかりやすさ、あるいは顧客のフォローのうまさなどで、マーケティングであれば、見込み客を捕まえるためのバナーの内容がいかに魅力的かどうかなどです。

 人事であれば面接時に企業や職場、仕事内容の魅力をうまく応募者に伝えられているか、広報であればプレスリリースでいかにメディアに興味を持たせることができる魅力的な内容を記載できるかなどです。

 すべて「量」で表すことはできない「質」的な部分です。

 では、「行動の量」と「行動の質」のどちらから着手するべきなのでしょうか。

 結論から言うと、「行動の量」から着手したほうがいいです。

 なぜなら、「行動の量」を高めるほうが、「行動の質」を高めるよりも容易だからです。

■「行動の量」は客観性が高く、原因が1つに特定できる

「行動の質」を高めるよりも、「行動の量」を高めるほうが容易。

 その理由として、まず挙げられるのが、「行動の量」のほうが客観性が高いということです。

 たとえば、営業の場合、「面談から商談化への転換率(=商談化率)」の数字が悪かったとしましょう。

 つまり、ここからわかるのは「面談」における「行動の質」が低いということです。

 しかし、この場合、質が低い原因は複数考えられます。