今年に入り、ドラマへのお笑い芸人の起用が急増している模様。

 (画像:『イップス』フジテレビ公式サイトより)2024年4月期の春ドラマでは、バカリズムが『イップス』(フジテレビ系)で篠原涼子とダブル主演しており、ずんの飯尾和樹も『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)で重要な役どころを担っています。

バカリズムやロバート秋山をはじめドラマで芸人が大活躍

また、NHK大河ドラマ『光る君へ』にはロバートの秋山竜次、はんにゃ.の金田哲、カラテカの矢部太郎らが登場。



ひとつ前の1月期の冬ドラマでも、とんねるずの木梨憲武が『春になったら』(フジテレビ系)、ネプチューンの原田泰造が『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(フジテレビ系)、3時のヒロインの福田麻貴が『婚活1000本ノック』(フジテレビ系)で主演をつとめました。

 (画像:『婚活1000本ノック』フジテレビ公式サイトより)芸人は実は演技が上手いことはもはや定説となりつつありますが、その中でも特に光るものを持っていると思われているのはいったい誰なのでしょうか?

30代&40代女性を対象に「芸人でドラマなどの演技が上手いのは?」アンケートを実施(※)し、類まれな演技力を持つ芸人を調査しました。まずは、19〜11位まで一気に紹介!

オリラジ藤森は共演の綾野剛から絶賛「とてつもない瞬発力」

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同率19位 オリエンタルラジオ 藤森慎吾 8.5%

同率19位 はんにゃ. 金田哲 8.5%

同率17位 元キングオブコメディ 今野浩喜 10%

同率17位 シソンヌ 長谷川忍 10%

16位 東京03 飯塚悟志 10.5%

同率14位 元雨上がり決死隊 宮迫博之 11%

同率14位 ヒコロヒー 11%

13位 我が家 坪倉由幸 12.5%

同率11位 マキタスポーツ 13.5%

同率11位 ココリコ 田中直樹 13.5%

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同率19位に入ったのは、オリエンタルラジオ藤森慎吾。『恋はDeepに』(日本テレビ系)に出演した際、共演した綾野剛から「皆さんが思っている以上に、とてつもない瞬発力」「集中力もすごい」など才能を絶賛されたという武勇伝を持っています。



バラエティではチャラ男でも、演技のうえでは「快演俳優」という言葉がぴったり。『13(サーティーン)』(フジテレビ)での誘拐犯役や『金魚妻』(Netflix)での暴走旦那、映画『闇金ウシジマくん Part3』での借金クズ男など、普段のイメージとは全く違った表情は必見です。

13位のマキタスポーツは、もはやどのシーズンにも出ている気がするほど、ドラマには欠かせない名バイプレイヤー。



『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)の主人公・妙子の夫のようなオリジナルキャラも秀逸ですが、『きのう何食べた?』シリーズ(テレビ東京系)での主人公・ケンジが勤める美容室の店長や、『闇金ウシジマくん』シリーズの村井、映画『ゴールデンカムイ』の後藤竹千代など、マンガ実写化作品でも「そうそう、こんな人だと思う!」と視聴者に受け入れさせてしまう独特の演技力と存在感は唯一無二ではないでしょうか。

続いて、10位〜4位までを紹介します。



シソンヌやハナコ、アンジャッシュらコント師がランクイン

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10位 シソンヌ じろう 16%

同率8位 藤井隆 16.5%

同率8位 ずん 飯尾和樹 16.5%

7位 アンジャッシュ 児嶋一哉 19.5%

6位 ロバート 秋山竜次 21%

5位 友近 22%

4位 ハナコ 岡部大 22.5%

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10位に入ったのはシソンヌのじろう。相方の長谷川忍も同率17位にランクインしており、コンビ揃って今期のNHK連続テレビ小説『虎に翼』にも登場していることからも、シソンヌ自体の演技力が高く評価されていることがわかります。

 (画像:『心霊内科医 稲生知性』フジテレビ公式サイトより)中でもじろうの演技者としての実力を強く示したのは初の主演ドラマ『心霊内科医 稲生知性』(フジテレビ系)ではないでしょうか。笑い抜きのシリアスな演技としっかり主演を張れることを証明した画面の中での存在感。地味な見た目から放たれる滋味深い演技力に魅了される人は今後も続出していくでしょう。

7位にはアンジャッシュの児嶋一哉がランクインしています。彼の演技力については、芸人が映画やドラマに多数起用されるようになるはるかに前から評価されており、作品内での印象度はおそらく芸人界でもトップクラス。特に2020年度の『半沢直樹』(TBS系)での大臣秘書役でのシリアスな演技に息を呑んだ人も多いのではないでしょうか。



『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)でのキャラを地でいくような居酒屋店主役、『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)でのアリオタク研究者など、変幻自在の演技力には常に驚かされるとともに、次はどんな役どころを与えられるのか毎度楽しみでもあります。

4位にはハナコの岡部大が入りました。ランキングの中でも突出して若手である岡部は、2018年の『キングオブコント』優勝時からその演技力は注目されており、2020年から『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)やNHK朝の連続テレビ小説『エール』など、続々と話題作に出演。その後『しろめし修行僧』(テレビ東京系)では主演を務めており、『どうする家康』ではNHK大河ドラマデビューも果たしています。

 (画像:『しろめし修行僧』テレビ東京公式サイトより)持ち味である坊主頭の朴訥(ぼくとつ)キャラは崩すことなく、様々な作品で強いインパクトを残し続けている岡部。いずれ『釣りバカ日誌』や『裸の大将』のような昭和の名作リメイクでも成功をおさめそうな予感がしますね。

3位 東京03 角田晃広 27.5%

3位は、東京03の角田晃広。今コント師たちから最も憧れられているトリオである東京03のメンバーであり、ミュージシャンとしての一面を持つマルチな才能の持ち主です。

俳優としてブレイクしたのは、アンジャッシュ児嶋も出演していた2020年版の『半沢直樹』。前半のキーパーソンである東京セントラル証券営業企画部の三木役で印象深い演技を見せています。



さらに『大豆田とわ子と三人の元夫』(TBS系)でも松たか子演じる主人公の二番目の元夫役を演じてさらに評価を高め、カンヌ受賞も果たした映画『怪物』に出演した際には、是枝裕和監督から「天性のものがある」とお笑い界で随一の演技力を認められていました。



2位 ネプチューン 原田泰造 34%

2位は、『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』でのユーモアあふれる演技が記憶に新しい、ネプチューンの原田泰造です。

 (画像:『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか』フジテレビ公式サイトより)演技のベースになっているのは、本人のイメージに近い、性格が熱いタイプのおじさん。しかし、作品ごとの様々なシチュエーションの中で、そのキャラクターをどう見せるのかにひじょうに長けた人という印象があります。

例えば『生理のおじさんとその娘』(NHK)では、生理用品メーカーの仕事に情熱を傾ける広報マン。しかし『魔法のリノベ』(フジテレビ系)では、前出と同様に仕事熱心なサラリーマンではあるもののパワハラ上司という役どころ。

幅広い役柄を演じられるタイプとはまた違った個性を持つ芸人俳優ではないかと思います。

1位 ドランクドラゴン 塚地武雅 34.5%

栄えある第1位はドランクドラゴンの塚地武雅に輝きました。

現在NHK連続テレビ小説『虎に翼』にも登場しておりお笑い界で演技力にかけては右に出るものなし。もはや芸人俳優という枠を超えた演技者となっています。



『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)での主人公の父や『アトムの童』(TBS系)などでの気の良いおじさん的な立ち位置から、映画『ハンサムスーツ』の主人公や『パパがも一度恋をした』のおっさん多恵子などビジュアル先行役、さらに『裸の大将 21世紀版』(フジテレビ系)というレジェンド作品のリメイクまで、演技力を武器に様々なポジションを網羅できるオールラウンダーといえます。

しかし全てに共通するのは、彼の演じた役どころを視聴者は愛さずにはいられなくなってしまうところ。どのキャラクターも人間らしい愛され力に満ちた存在にしてしまう能力こそ、彼の演技の最大の魅力ではないでしょうか。



新しい世代からも芸人俳優が続々登場



ランキング21位以下には、おいでやす小田(21位)、空気階段 鈴木もぐら(26位)、コットンきょん(29位)、男性ブランコ浦井のりひろ(34位)など、新しい顔ぶれの名前もズラリ。今後も続々と新しい芸人俳優たちが活躍を見せてくれそうですね。

※【調査概要】

調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニター(30〜49歳女性)に対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。

調査期間:2024年5月8日

有効回答者数:30〜49歳女性200人

<文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama