4月下旬にエイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)がレッドブルを離脱するという情報が報じられたが、その正式な発表が差し迫っていると言われている。早ければF1マイアミGP前にも、正式発表が行なわれる予定のようだ。

 多数のチャンピオンマシンを送り出してきたF1のマシンデザイナーであるニューウェイ。4月下旬にドイツの『アウト・モーター・ウント・シュポルト』によってレッドブル離脱の可能性が最初に報じられて以来、大きな注目が集まっている。

 レッドブルは現在、F1で圧倒的な強さを誇っているが、チーム代表のクリスチャン・ホーナーにまつわる疑惑をきっかけに生じたチームの主導権争いに、ニューウェイは幻滅したと言われている。最初の報道時点では離脱はまだ正式なものではなかったようだが、その後チームとの話し合いの結果、正式に辞表を提出したとも言われている。現時点での焦点は、彼が離脱するための条件ということになろう。

 そしてそのニューウェイのレッドブル離脱は、早ければF1マイアミGP開幕前にも行なわれる可能性があることも分かった。

 詳細はまだ不明ながら、ニューウェイは2025年初めにレッドブルを離れるまで、当面は現在の職務に留まると見られている。

 前述のようにニューウェイのレッドブル離脱は、女性従業員に対する不適切行為があったというホーナー代表への疑惑をきっかけに起こった権力闘争で、その関係が破綻してしまったことだと言われている。


 また昨年末に公開されたホーナー代表のインタビューでは、ニューウェイの役割が変わり、「ピエール・ワシェ率いる技術チームは素晴らしい仕事をしており、エイドリアンに依存しているわけではない」と現在のレッドブルの成功がニューウェイひとりの手によるものではないと語っていた。ホーナー代表はまた、サッカーのマンチェスター・ユナイテッドからスター選手のエリック・カントナが去った時も、チームは崩壊しなかったと述べ、ニューウェイがいなくてもチームの勢いは止まらないと考えていることを示唆した。

 ニューウェイの妻はこのホーナー代表のインタビューにSNS上で反応し、「なんてナンセンスな話!」とコメントしている。こうした内容のインタビューも、少なくともニューウェイとの関係においてプラスには作用しなかっただろう。 

 レッドブルを離脱した後のニューウェイの選択肢も注目を集めているが、彼には5つの選択肢がある。アストンマーティン、フェラーリ、メルセデス、マクラーレンといったチームへの移籍、そしてF1界からの引退だ。

 稀代のF1マシンデザイナーである彼には、アストンマーティンがこの騒動前から巨額のオファーを出していることが分かっている。また、フェラーリも過去に何度もニューウェイを勧誘している。

 ただ噂では、ニューウェイはアストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールに対してそこまで好意的ではないようだ。自身の存在がアストンマーティンの価値を高め、その後チームを利益のために売却する可能性があるという点も好んでいないという。

 なおメルセデス、そしてマクラーレンに加入する可能性は低い。ニューウェイは既に66歳を迎えようとしているおり、例えばメルセデスを常勝軍団に戻すのは、年齢のことを考えれば時間がかかりすぎてしまうと言えるだろう。またマクラーレンは、ニューウェイとしては過去に在籍したことがあるチームであり、新しい挑戦とはなり得ないのだ。