MotoGP第5戦フランスGPで今季2勝目を飾り、ポイントリーダーの座を確固たるものとしたホルへ・マルティン(プラマック)。彼はドゥカティのファクトリーチームに相応しいことを、これ以上証明する必要はないと語った。

 マルティンは予選でポールポジションを獲得すると、スプリントレースで勝利を飾り、決勝レースでも同じドゥカティ陣営のマルク・マルケス(グレシーニ)とフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)とのバトルを制してトップチェッカー。まさに完璧な戦いぶりを見せてチャンピオンシップのリードを大きく広げた。現在ランキング2番手につけるバニャイヤとの差は38ポイントだ。

 フランスGPの結果は、ファクトリーチーム昇格を目指すマルティンにとってこれ以上ないものとなった。現在ドゥカティは、来季バニャイヤのチームメイトになるライダーとして、エネア・バスティアニーニを残留させるか、マルティンやマルケスを昇格させるかを検討している。

 ただマルティン自身は、直近のパフォーマンスが来季の居場所に影響するとは感じていない。というのも、昨年バニャイヤに次ぐランキング2位に入ったマルティンは、バニャイヤのチームメイトに足る実力の持ち主であると既に証明済みと考えているからだ。

 レース後にマルティンは次のように語った。

「何か証明すべきものがあるとは思わない」

「僕の将来に関しては、直近のレースで起こることによって何か変わるわけではないだろう。優勝しようが、クラッシュしようが、僕は既に自分にできることをやったし、そのパフォーマンスには本当に満足している」

 今回のレースがドゥカティに対しての強いメッセージになったのではないかと念を押すように聞かれたマルティンは、こう返した。

「確かに重要なことではあると思う。でも何か変わるとは思っていない」

「僕は昨日と同じライダーだし、木曜日から同じライダーだ。もし彼らが決断を下すのであれば、彼らは(十分な)選択肢を持っているし、どういう形になっても良い決断になるだろう」

「もちろんドゥカティのファクトリーチームに行きたいけど、もし彼らが僕の知り得ない理由によって僕を欲しがらないのであれば、自分はその才能を他の人に捧げるよ」

 トップでチェッカーを受けた際、喜びを爆発させるあまりバイクのスクリーンを拳で破壊したマルティン。レース前には自らの力を疑うような瞬間もあったため、自分が最強のライダーだと改めて証明できた喜びはひとしおだったようだ。

「どんなライダーだって、レース前には多少なりとも自分を疑ったりするものだ」とマルティンは言う。

「自分が強いことは分かっているけど、時には疑い過ぎてしまうことだってある。自分がどれほどの力を持っているのか分からなくなるんだ」

「フィニッシュラインを通過した時は『ナンバー1は誰だ、ナンバー1は誰なんだ?』という感じだったよ」