今季も厳しい戦いを強いられているメルセデスF1のチーム代表であるトト・ウルフは、進むべき方向性が見えていることをは非常にポジティブだと語った。

 2014年から2021年まで、8年連続してコンストラクターズチャンピオンを獲得したメルセデスだが、ここ最近は苦戦が続いている。2022年シーズン以降で彼らが勝利したのは、2022年のサンパウロGPのみ。今季は最強のレッドブルのみならず、フェラーリやマクラーレンにも後れを取っている状況だ。

 しかしウルフ代表は、チームは現在置かれている状況を理解できているため、将来に向けてはポジティブだと語った。

「クルマをより良いポジションに引き上げるためには何が必要なのか、我々はよりよく理解できていると思う」

 そうウルフ代表は語った。

「いつ(マシンが)機能しないのか、なぜ問題が発生するのか、そしてどこに問題があるのかが明確になった」

 少し前のメルセデスは、問題の原因を理解できていなかったため、速い時にも、遅い時にも、その理由を説明できなかった。しかし今では、開発の明確な方向性は見つかったようだ。

「これは苦痛も伴う学習曲線であり、まだ満足いくモノではない。でも、今の状況はより励みになる」

 そう語るウルフ代表は、さらに次のように続けた。

「我々のマシンはもはや跳ねなくなった。ここ(マイアミ)では、ここ数年は本当に酷い状況だったのだ。だから、このことは良いことなんだ」

「マシンは高速域で非常に強く、ハンドリングも安定している。他のマシンのレベルには及ばないがね」

 一方で低速コーナーでは大きな問題が依然としてあると語る。

「低速だけ、あるいは高速だけ優れたマシンを手にしたいわけじゃない。両方のパフォーマンスが必要なのだ」

 ウルフ代表曰く、メルセデスがどの領域を改善しなければいけないかは既に分かっているものの、そのための「奇跡の治療法」と言えるようなモノはなく、一夜にして解決できるようなモノではないという。

「急ぐことはできないね」

 なお既に解決に向けた新パーツの準備が進められているものの、その製造に着手するまでには「何週間も」かかるという。

 今季のメルセデスは、ここまで表彰台ゼロ。開幕6戦を終えた段階で表彰台を獲得できなかったのは、実に2011年以来のことだ。この2011年、メルセデスは結果的に1度も表彰台を手にできなかった。