先日、今シーズン限りでの引退を発表したアプリリアのアレイシ・エスパルガロ。彼は現在MotoGPでポイントリーダーに立つホルへ・マルティン(プラマック)がドゥカティのファクトリーチームに昇格するべきだと考えている。

 ドゥカティは来シーズン、2度のMotoGP王者であるフランチェスコ・バニャイヤのチームメイトに誰を選ぶかの決断を迫られている。エネア・バスティアニーニは現行の2年契約が切れる今年をもってチームを離れるのではと言われているが、その後任にはマルティンの他にも8度のワールドチャンピオンであるマルク・マルケス(グレシーニ)の名前もあがっている。

 マルティンはサテライトチームのプラマックに所属しながら、昨年はバニャイヤに次ぐランキング2位に入り、今季は5戦を終えてポイントランキングトップを独走している。しかし現状ではファクトリーチーム昇格が確約されているわけではなく、マルティンはもし来季のファクトリー入りが叶わない場合は他メーカーに移籍することを明言している。

 もしそうなった場合、マルティンにとってアプリリアは魅力的な選択肢と言えるだろう。エスパルガロの引退発表により、来季のシートが1席空いた形となるからだ。

 当のエスパルガロは、マルティンがアプリリアのバイクに乗ってレースに勝つところを見たいとしながらも、マルティンはMotoGPで最も競争力のあるシートにふさわしいと感じている。

「確かに(アプリリアは)良いチームで良いバイクを持っている。でもそれは(マルティンにとって)フェアじゃないよ」とエスパルガロは言う。

「ホルへは彼の夢であるドゥカティファクトリーに乗る資格がある」

「それができないというのなら、僕としては超不公平だと思う。でも(アプリリアは)良い選択肢だし、ホルへが(自身の乗る)41号車のバイクで優勝したりタイトルを獲るのが見られたら最高だ」

 以前から現行のアプリリアとの契約が最後になることをほのめかしていたエスパルガロだったが、これで長きにわたるMotoGPキャリアに幕を下ろすことになる。彼は2017年からアプリリアに所属し、アプリリアが“勝てるバイク”に変貌を遂げる上で不可欠な役割を果たした。初期は低迷していたもののいつしか上位争いの常連となり、2022年には1勝、2023年には2勝をマークした。

 エスパルガロは引退会見から一夜明け、その決断が正しいものであったと改めて感じたという。

「昨日は素晴らしい1日になった。人生最良の1日だ」とエスパルガロは言う。

「今朝起きた時、最初に思ったことが『正しい決断をした』ということだった。すごく幸せな気分で起きられたし、リラックスしていた」

「モーターホームでマックス(息子)と朝食をとっていたけど、まるで家にいるような、普通の感覚だった。いつもならそうではない。常に何か考えているからね」

「だから今朝はすごくリラックスしていたし、バイクにもリラックスして乗れた。だからこの決断をして良かったと思っている」