ターボ車はその構造上、オイル管理をしっかりとおこなう必要があるのですが、定期的なオイル交換を忘れている人もいるようです。特に軽自動車オーナーに多いようですが、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。

「軽のターボ車」早めのオイル交換が必要だった!

 優れた環境性能を得られるハイブリッドモデルが増加するなか、意外にも増えているのがターボエンジン搭載車(ターボ車)です。
 
 ターボ車は高性能なイメージがありますが、日本独自の規格である「軽自動車」でも、たいていのモデルにターボ車が用意されています。
 
 なぜ軽自動車にターボエンジンが必要なのでしょうか。

 そもそも「ターボ」とは「過給機」と呼ばれる機構の一種です。

 エンジン内で生まれた爆発力は一部が推進力になり、残りは排気されますが、ターボはこの排気を応用して「タービン」という風車のようなパーツを回転させます。

 そして、連動するように設置されたもうひとつのタービンが外部からより多くの空気を吸い込み、エンジンへと送り込むことで爆発力を高めるという仕組みを採用しています。

 そして軽自動車にターボ車が多い理由は、660ccという限られた排気量でより効果的にパワーを得ることができるからなのです。

 近年はターボエンジンが進化し、より低回転からターボの効果が得られるセッティングが可能になりました。

 一方で、安全装備の充実によって車重が増加傾向の軽自動車では、スムーズかつ快適に走らせるためにパワーが不可欠です。

 しかし、コストにも制限が多い軽自動車の場合、燃費の向上が見込めるハイブリッドシステムは重量が増えるうえに高価な機構であることから、搭載が難しいという面も。

 そこでターボを採用することで、確実かつ安価にハイパワーを実現することができるのです。

 ただし、かなり高回転でタービンを回し、より多くの燃料を燃やす(エンジンにより多くの仕事をさせる)ため、ターボエンジンはエンジンオイルへの負担がかかります。

 そのため、ターボ車ではエンジンオイルや消耗部品の管理などを定期的におこなう必要があるのですが、軽自動車ではメンテナンスをないがしろにする人も多いようです。

 軽自動車からハイパワースポーツまで幅広くメンテナンスを手がけた経験を持つF整備士に聞いてみました。

「特に小排気量ターボは、エンジンにもターボ自体にも負荷がかかっています。

 それでも問題なく稼働しているのは、より多くの負荷をエンジンオイルが請け負ってくれているからです。

 そのため、軽のターボは普通車よりもオイル管理に気を遣う必要があるのです」

 日常のアシとして軽自動車を選んでいる人も多く、クルマ好きの人ばかりではありません。

 そういった人はエンジンオイルを定期的に交換することなく、大きなトラブルが発生することも多いのだそうです。

「エンジンオイルの交換は、自動車メーカーが推奨するは5000kmあたりです。

 軽自動車の場合、エンジンに負担がかかる短距離移動が多い、いわゆる『シビアコンディション』になりやすいといえます。

 そのため、少し早めの4000km程度でオイル交換をすると、大きなトラブルに発展しにくくなるかと思います」(F整備士)

 このように、軽自動車のターボ車はハイパワーと引き換えにオイル管理をマメにする必要があります。

 その構造を理解すれば、早めのエンジンオイル交換が推奨される理由がわかるかと思うのですが、それを知らずに車検ごとに交換する軽オーナーもいるとか。

 軽自動車のエンジンオイル交換は使用するオイルの量が少なく、数千円程度で済みます。

 大きな故障を招かないための予防として、軽自動車でも定期的なエンジンオイル交換をお勧めします。