【シンガポール共同】シンガポールのローレンス・ウォン副首相兼財務相(51)は15日、第4代首相に就任した。首相交代は約20年ぶり。米中対立など外交環境は厳しく、物価高や少子高齢化といった内政の課題も多い。新首相の下、次期総選挙で安定した政権基盤を築けるかどうかが焦点となる。

 新政権では継続性と安定を重視し、内閣改造は最小限にとどめた。退任したリー・シェンロン首相(72)は上級相として閣内にとどまり、国際的知名度に劣る新首相を支え外交・内政の重しとなる。リー氏は国父の故リー・クアンユー初代首相の長男。建国以来、国政を差配してきたリー家は一線から引く。

 リー氏は当初70歳で退任する意向を示していたが、新型コロナウイルス禍で延期した。後継者と目されていたヘン・スイキャット副首相が辞退。与党内の協議で22年4月にウォン氏を後任に選んだ。

 ウォン氏は官僚出身。リー氏の秘書官やエネルギー市場監督庁長官を務めた。11年に政界入りし、国家開発相などを歴任した。米ハーバード大ケネディ行政大学院で修士号取得。