米英豪3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」。かねてからこのパートナーシップへの参加が取り沙汰されている日本ですが、海外ではどのように報じられているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、香港の有力紙が伝えた記事内容を翻訳して紹介。その上で、AUKUSへの参加準備を進める自国の動きについて、さしたる議論が見られない日本国内の状況を疑問視しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:AUKUSに入る準備をする日本

AUKUSに入る準備をする日本

AUKUS(オーカス)は、アメリカ、イギリス、オーストラリアの三国間のパートナーシップです。2021年9月に発足が発表されました。

AUKUSには柱が2つあります。

第一の柱はアメリカとイギリスによるオーストラリアへの原子力潜水艦の開発および配備の支援です。

第二の柱は、人工知能や極超音速ミサイルの共同開発をはじめとする先端技術分野での協力です。

このAUKUS、アメリカのオースティン国防長官は第二の柱である先端技術の分野で、日本との協力を検討していると明らかにしました。

これについての香港サウスチャイナモーニングポストの記事をみてみましょう。

韓国、日本、ニュージーランドは現在、AUKUSのいわゆる「第二の柱(Pillar 2)」に署名したがっている。

 

この柱は、量子コンピューターや人工知能から極超音速兵器に至るまで、多くの最先端技術革新に関する機密知識や軍事専門知識へのアクセスを約束するものだ。

 

シンクタンクの非常勤研究員であるエレノア・ヒューズ氏によれば、日本と韓国は間違いなく最先端の技術的ノウハウやテクノロジーをオーカスに提供することができるという。

解説

記事では「日本と韓国、ニュージーランドがAUKASに入りたがっている」というニュアンスです。

しかしながら日本の問題も指摘しています。

オーストラリア国際問題研究所のメンバーでもあるヒューズ氏は、「しかし日本がAUKUSに参加するには、サイバー攻撃に対するより高い耐性を構築する必要がある」と付け加えた。

 

日本側としては、2月に閣議決定され、現在国会で審議されている「セキュリティ・クリアランス法案」によって、セキュリティを向上させ、機密データの漏洩を防ぐ動きを見せている。

解説

私は方向として同意するものですが、進め方に納得できません。

この問題、なぜ日本の報道でもっと取り上げないのでしょう。

日本の国際政治の大きな節目になる超重要事項なのにです。

中国の『環球時報』は、4月8日付の記事で、オーカスの拡大は「憂慮すべき動き」であり、「協定がさらに『アジアのNATO』へと変貌することを意味する」と述べています。

NATOは、メンバー国が互いの防衛を約束する集団防衛の原則に基づく軍事同盟です。

それに対してAUKUSは軍事同盟というよりは技術的協力と安全保障の強化を目指すパートナーシップです。

その面でNATOとAUKUSは違います。しかし確かにAUKUSは発展的にアジア版NATOになりうる枠組みなのです。

それに対する布石を日米政府ともに着々と打ちながら、日本国内にさしたる議論がないのは健全とは思いません。

 

(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年5月12日号より。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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