和歌山電鉄貴志川線の活性化につなげようと、沿線地域の和歌山信愛女子短大(和歌山市)の学生たちが紀の川市と考案した駅弁の試作品が完成した。見た目はそぼろ弁当だが、フルーツやお菓子でできている「日本一おかしな駅弁」と銘打つ。市は商品化に向け、ふるさと納税の一種の行政版クラウドファンディング(GCF)で200万円を目標に8月22日まで資金を募っている。【藤原弘】

 市と同短大が2023年8月に締結した包括連携協定に基づき、9月から5回、市職員2人が講師となって集中講義を行った。学生10人が受講し、「貴志川線に日本一の○○をつくる」をテーマにアイデアを出し合った。その中から家族連れで貴志川線に乗って楽しめるとして、子どもが食べられる小さなお弁当をお菓子で作ってみることになったという。パティシエの山野裕代さん(大阪市)からもアドバイスを受けた。

 試作品は、紀の川市内で栽培が盛んなキウイやハッサク、イチゴ、柿、イチジク、桃の6種類とタルト生地を焼き上げた上に、チョコレート味のクッキーを鶏そぼろ、プレーン味をいり卵に見立てて乗せた。一見そぼろ弁当のように見えるが、市特産のフルーツを使い、スイーツ感覚で楽しんでもらおうという一品だ。小林亜衣さん(2年)は「そぼろ丼風なので、お菓子に見えない面白さがある」と語る。

 5月25日に同短大で開かれた地域イベント交流で試作品を無料で振る舞った。59人がアンケートに回答し、48人が「おいしかった」と答えたという。紀美野町から訪れた湯上ひとみさん(65)は「入っているフルーツが分かるようにラッピングなどを工夫してみては」と提案した。

 堀内季紀さん(2年)は「いろいろな世代の人と一つのプロジェクトを完成させるのが楽しそうだ」と思い参加したという。前田千尋さん(同)は「生の声を取り入れて、少しずつ改善し完成させたい」と話した。

 市は「ふるさとチョイス」と「JALふるさと納税」で寄付を募っており、パッケージのデザインなど商品化に必要な経費に充てる。返礼品として、1口1万円に対し駅弁1個を送るという。

 市地域創生課の担当者は「市の活性化に関与してくれる学生を増やしていきたい」と期待している。問い合わせは、同課(0736・77・2511)。