無秩序な駐停車の影響と問題点

 クルマを運転していると、さまざまな場面で明らかに迷惑な言動や行動に遭遇する。私たちはそれを想定して運転しているはずだが、それでも結局イライラしてしまう。

 最近、路上での駐停車マナーの悪さが目につく。明らかに他人の進路を妨害したり、通行の邪魔になったりするような駐停車をするクルマが後を絶たない。

 自動車教習所の実技試験でも示されるように、ドライバーにとっては“できて当たり前”のはずなのだが、それゆえに、無秩序で身勝手なクルマが多いのではないだろうか、と筆者(ズバリ英朗、道路ライター)は考えてしまう。

 他人に迷惑をかけないためにも、

・マナーの悪い駐停車とはどのようなものなのか
・それが周囲のクルマや他の交通にどのような影響を与えるのか

を考える必要がある。今回も“ズバリ”指摘していこう。

狭い道(画像:写真AC)

他車の進路を完全に封鎖するケース

「邪魔だ」と思う駐停車のケースはさまざまだ。

 一番多いのは、他のクルマの進路を完全にふさいでいるものだ。狭い道で、物理的にすれ違うことができないようにされているケースに多い。通れないクルマは当然立ち往生するため、これは深刻な迷惑行為である。

 また、物理的に通過できても、サイドミラーぎりぎりを通過するケースも多い。この場合、通行できて足止めされないだけまだマシだが、クルマにぶつからないように注意しながら運転しなければならないので、非常に神経を使う。

 幹線道路やバイパスでは、交差点の前後に駐停車しているクルマをよく見かけるが、明らかに交通の流れを悪くしている。交差点付近は左折時に迷惑になることが多く、渋滞の原因となっている車両を見るとイライラする。

 ある程度スムーズにクルマが流れているなかで、何の前触れもなく急にスピードを落として駐停車するクルマがいる。筆者はそのようなクルマの気配を察知し、注意して運転しているが、それでも予期せぬクルマもあり、かなり厄介だ。

 まずはその場所や方法を間違えるとさまざまな障害が発生することを頭に入れておいてほしい。

トンネル(画像:写真AC)

主な駐停車禁止場所

 路上の駐停車に関するルールは道路交通法に定められている。まずは法律を理解することが大切だ。主に禁止場所を定めている。具体的には、道路交通法第44条だ。

・軌道敷内
・坂の頂上付近、勾配の急な上り坂・下り坂
・トンネル内
・交差点内と交差点角から5m以内
・道路の曲がり角から5m以内
・横断歩道・自転車横断帯とその端から前後5m以内
・踏切とその端から10m以内
・安全地帯の左側とその前後10m以内
・バス・路面電車の停留所の標示板から10m以内(運行時間帯に限る

 そのほか、標識がある場所で禁止するルールもある。場所によっては、時間帯によって禁止区間が設けられている。特に、平日の朝夕のラッシュ時には、大きな通りに設けられることが多い。

 路上で行う際は、安全な場所かどうか、標識や標示はないか、時間帯は大丈夫かをよく確認しよう。

サイドミラー(画像:写真AC)

通行確認の重要性

 ルールを忠実に守った上で、実際に路上で駐停車する際にはいくつか注意点がある。

 まず、早い段階からハザードランプを点滅させること。後続車に自分のクルマが駐停車しようとしていることを示し、後続車が安全に走行できるようにするためだ。

 狭い道路で行う場合は、できるだけ道路端にクルマを寄せ、駐停車しても物理的にクルマの横を通れるかどうか、さまざまな角度から確認する。その際、普通車だけでなく、トラックやバスなどの大型車も通行できるスペースがあるかどうかを確認しなければならない。大型車が通れるだけのスペースがなければ、場所としては好ましくない。

 大通りにする場合は、特に

・交差点に近くないか
・駐停車しても渋滞の原因にならないか

を確認する。また、禁止の標識がないか、時間帯によっては駐停車しても安全かどうかもだ。

 駐停車時はサイドミラーをできるだけ閉じておく。開いていて通行の妨げになるケースが多い。行っている本人は開いていることを気にしていなくても、通り過ぎるクルマにとっては邪魔になる。最近のクルマはボタンひとつで簡単に開閉できるようになっているので、操作方法を覚えて活用することをお勧めする。