5月26日(日)に東京競馬場で行われる第91回日本ダービー(3歳牡牝・GI・芝2400m)。3歳馬7906頭の頂点を決める注目の一戦を目前に控え、世には血統や調教、陣営情報が多く飛び交っている。そんな中、当記事では一般的な予想ファクターとは異なった視点から日本ダービーを紐解いていきたい。今回は、“阪神タイガース優勝翌年”のダービーについて。

 2023年11月5日、関西を中心に全国各地が歓喜の声に包まれたのは記憶に新しい。流行語大賞にも選ばれた“アレ(A.R.E.)”こと、阪神タイガースの38年ぶり通算2度目の日本一の日だ。打っては中野拓夢選手が最多安打、走っては近本光司選手が盗塁王、守っては球団史上最多の5名がゴールデングラブ賞獲得、投げてはルーキー・村上頌樹選手が最優秀防御率とMVP、更には新人王も獲得という圧倒的な力を見せつけた1年となった。今年もチームスローガン“アレンパ”に向け、ここまで順調に突き進む阪神タイガースは、まさに黄金期といっても過言ではない。そんな同球団のリーグ優勝翌年のダービーについて集計していると、興味深いデータが浮かび上がってきた。

 過去、阪神タイガースのリーグ優勝は昨年を除くと5度。その翌年のダービーの結果は以下である。

【阪神タイガース リーグ優勝翌年のダービー馬と鞍上】
1963年:メイズイ/森安重勝騎手(1人気)
1965年:キーストン/山本正司騎手(2人気)
1986年:ダイナガリバー/増沢末夫騎手(3人気)
2004年:キングカメハメハ/安藤勝己騎手(1人気)
2006年:メイショウサムソン/石橋守騎手(1人気)
※1950年の2リーグ制導入以降

 これらの共通点を探していくと、全てが3番人気以内。そして「5回のうち4回で初のダービージョッキーが誕生」しているのである(80%)。全ジョッキー、そして今年の出走予定馬の鞍上のうち、上記に当てはまる人馬がたった一頭だけいる。

 土曜夜時点でのオッズで3番人気以内かつ、ダービー初制覇となるのは戸崎圭太騎手。同騎手は過去、ダービー2着の実績があり、あと一歩というところまできているという印象。無敗の皐月賞馬とあって実績も十分だが、このデータも大きな後押しになるのではないか。

 とここまで続けてきたが、“今年の阪神タイガースとダービー”という視点で見るとある“サイン”が見えてきた。

 “競馬の祭典”日本ダービーが行われる26日、時を同じくして野球界では“伝統の一戦”と呼ばれる阪神タイガース対読売ジャイアンツの試合が阪神甲子園球場で行われる。どちらも各界で注目の一戦だ。後者はしばしば、両チームの頭文字をとって“GT決戦”と略されるが今回、競馬界の日本ダービーにも“GT”が決戦に挑もうとしている。関西・矢作厩舎が管理するミスタージーティーだ。ここまで5戦2勝。前走の皐月賞では10着と悔しい結果に終わったが、若葉Sから中3週というタイトなローテーションであったことを考慮すれば、今回巻き返しがあって不思議ない。鞍上の藤岡佑介騎手もダービー初制覇がかかる一戦であり、人気の盲点となるのであれば押さえておきたい一頭と言えるだろう。

 昨年末、全国に響き渡った“六甲おろし”の如く、府中で勝利の凱歌を奏するのはどの馬か。5月26日15時40分、戦いの火ぶたが切られる。