伝動ベルト3社の2025年3月期連結業績は、全社が増収、営業増益(バンドー化学はコア営業利益)を見込む。半導体不足による減産の解消や在庫調整が進み、自動車や産業機械などの市場全般で需要が伸びると想定する。

バンドー化学と三ツ星ベルトは24年3月期に自動車向けベルトが好調に推移した。

伝動ベルト3社 2024年3月期

バンドー化学は国内では自動車用ベルト製品の採用車種の減少で販売が落ちたものの、同ベルトの生産台数が前年度を上回った中国や補修市場向けが伸びた欧米で好調だった。アジアで産業機械向けが好調だったこともあり、売上高とコア営業利益、当期利益が過去最高を記録した。

25年3月期は自動車・産業機械向けともに需要の伸びを期待し、増収増益を見込む。ただ植野富夫社長は、「中国に輸出する国内の顧客も多く、中国経済の影響はどこまで続くか」と懸念する。

三ツ星ベルトの24年3月期は、国内の自動車生産回復や海外での新規需要の獲得で自動車向けベルトが伸びた。ただ、一般産業・事務機器(OA)向けは海外の在庫調整や顧客の減産などで販売は低調で、国内外のベルト事業の落ち込みを建設資材事業でカバーする形となった。25年3月期について池田浩社長は「在庫調整は解消され、自動車や産業機械向けはともに伸びる」と予想する。

ニッタの24年3月期は国内の物流向けベルトが堅調に推移した。持ち分法適用会社のゲイツ・ユニッタ・アジア(大阪市浪速区)が手がける自動車向けは回復傾向にあったが、半導体製造装置向けホース・チューブ製品が低調だったことが減益につながった。ただ25年3月期の下期には、半導体向け製品の需要回復を見込む。

各社の25年3月期は自動車に加えて、物流、建設、農業向けなどの産業機械や半導体製造装置の需要回復が期待される。一方で、長引くインフレの影響や中国市場の回復度合いが見通しづらいため、市場の動向を注視しつつ需要を取り込むための機動的な戦略が一層求められそうだ。