【大谷翔平「二刀流の血脈」自信と気質とアタマ編】#3

 華々しい活躍で世界を沸かすドジャース大谷翔平(29)。

 日刊ゲンダイが過去に連載した「秘話 大谷翔平『二刀流の血脈』」を、大谷の自信、気質、アタマの3点に焦点を当てて再編し、その軌跡を紐解いていく。(第2回からつづく)

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 大谷がプロ1年目の13年。日本ハムは前年にリーグ優勝。エースの吉川光夫が14勝をマークすれば、主砲の中田翔は24本塁打をマーク。投打ともそれなりの選手がいたにもかかわらず、高卒1年目から、それが当然であるかのごとく投打の二刀流にチャレンジした。

 とはいえ、両親が危惧したように周囲に生意気と映ったり、軋轢が生じたりしかねない。そんな状況下でプラスに作用したのが末っ子気質というか、大谷の性格というか考え方だ。

 3人きょうだいの末っ子。上に長男と長女がいて、姉体小時代は放課後、姉とともに学校に隣接する児童センターで遊んだように年上の子供と接することが多かった。

 兄の友達ともよく遊んだ。何かをする前に、じっくり周囲を観察、他人を不快にさせるようなことは決してしなかった。幼少時から何げなく友達の輪に入って、何げなく一緒に遊んで、何げなく帰ってくる。年上と遊ぶ機会は多かったし、彼らと遊ぶだけの体力もあった。

 高校3年時のU18韓国遠征。日本ハムの山田スカウト顧問は、大谷の性格を知りたくて現地に飛んだ。

 岩手出身。東北出身にはどちらかといえば、引っ込み思案の選手が多い。実力を発揮する以前に、生き馬の目を抜く世界に埋もれてしまう高校生をこれまで何人も見てきたからだ。

 U18のメンバーには藤浪、北條史也(元阪神)、田村龍弘(ロッテ)、森友哉(オリックス)ら大阪出身者が中心で、「大阪弁は独特。一方的にまくしたてられたら、ボクらでも気後れするというか、ひるんでしまうようなところがある。そんな中に東北出身の大谷が入っていってどんな反応を示すのか、そもそも輪に入っていけるのかどうか。性格を見極めるうえで絶好の機会だった」と山田スカウト顧問は話す。(つづく)

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 そのU18の韓国遠征で、山田スカウト顧問が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間があった。

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