大谷翔平(29)の元通訳・水原一平被告(39)の悪行がさらに明らかになった。

 米連邦検察は日本時間9日、同被告が銀行詐欺罪などの罪状に関して司法取引に応じたため、起訴したと発表。同検察によると、水原被告は違法スポーツ賭博の借金返済のために約1700万ドル(約26億4000万円)を大谷の銀行口座から盗んだだけでなく、大谷から歯の治療費として受け取った6万ドル(約930万円)の小切手を現金化して自らの口座に移し替えたうえ、実際の治療費を大谷のデビットカードで支払っていたという。

 加えて、2022年にはウソの納税報告書を提出していたことも明らかに。水原被告は結婚しているにもかかわらず独身と申告して多くの控除を得た上に、追加収入の410万ドル(約6億4000万円)を申告しなかったという。これにより水原被告は、115万ドル(約1億8000万円)を追徴課税される見通しだ。

 26億円を盗んだばかりか、歯の治療代までせしめる悪行が明らかになった水原被告。30億円近い借金を抱えての刑務所送りは自業自得というしかないが、問題は大谷にどうやって26億円もの大金を返すのか、だ。

 ニューヨーク州などの弁護士資格を持つ狛グローカル法律事務所の山中眞人弁護士は、「水原被告の刑期は10年は超えると想像しますが、大谷選手は同被告からお金を取り返せないのではないか」と、こう続ける。

「大谷選手が同被告から返済してもらうためには、民事裁判を起こすしかありません。同被告が自己破産をしたとしても、犯罪に関わるうえにギャンブルによる負債はおそらく免責にはならない。大谷選手に返済する必要はありますが、大谷選手が裁判に勝ったとしても、同被告が賭博等で盗んだお金を使い切っていたら、裁判所も財産を押さえようがない。大谷選手は裁判には勝っても借金を回収できない中ぶらりんな状態になることが予想されます。弁護士の立場としては、何も取れないなら何もしない、という判断になると思います。同被告が道義的に補償するといっても、奥さんが菓子折りを持っていくことくらいしかないかもしれません」

民事裁判は起こさずか?

 ニューヨーク州の弁護士資格を持つ樋口国際法律事務所の樋口一磨弁護士も、大谷が民事裁判を起こすことには否定的だ。

「あくまで想像の範囲になりますが、仮に大谷選手が負債を回収しようとしても、水原被告はまず、国への負債を支払わないといけません。内国歳入庁(IRS)への追徴課税に加え、裁判で罰金が科されるようなら、罰金の支払いが優先されます。しかも、大谷選手が民事裁判を起こせば、精神的な負担も大きいでしょう。おそらく大谷選手は刑事の方では被害者として捜査対象から外れている。野球に集中できる環境になったにもかかわらず、裁判を起こせばメディアに格好の話題を提供することになります。おそらくお金を返してもらうよりもむしろ、イザコザに関わりたくないという気持ちが強いと思われます」

 ドジャースと10年1000億円超の契約を結んだ大谷にとっての26億円の価値は、庶民には想像がつかないが、今回は泣き寝入りするしかなさそうだ。

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 米老舗雑誌「The New Yorker」の大谷をモチーフにした表紙が物議を醸している。イラストにある大谷の姿は胴長で短足、しかも尻ポケットには札束が詰め込まれいて、容姿などを揶揄しているように見える。日本人を中心に世界中がその表紙に激怒していることは言うまでもない。

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