<日本生命セ・パ交流戦:西武0−5DeNA>◇16日◇ベルーナドーム

これ以上ない、父の日のプレゼントだった。DeNAドラフト5位の石田裕太郎投手(22)が、球団史上5人目の新人マダックスを決めた。

目標に定めていた6回を終えて56球。異次元のペースで凡打の山を築いた。9回は「(マダックスを)狙ってました」と8球全球ストライクで3者凡退。95球で4安打無四球完封を決め「最後まで投げると思ってなかった。やっちゃったなーと思いました」と驚きとともに受け止めた。

いつも以上に気合が入っていた。9日ソフトバンク戦(横浜)でプロ初登板初勝利を挙げた。ただ、誰よりも楽しみにしていたはずのDeNAの熱狂的ファンである父幸昌さんが体調不良で入院しており、球場に来られなかった。

父の日当日のこの日、父はスタンドで生観戦。前日は中大時代から“ルーティン”になりつつあるサッカー日本代表の長友の「ブラボー」スタンプで激励された。「ちょっとでもいい姿を見せられればと。いつもより力が入ったと思います」と、プロでの初の勇姿を初完投初完封という最高の形で届けた。小中学生時代は毎朝5時から近所の公園で父とキャッチボール。胸以外は捕球してくれない、厳しい指導が無四球完投の制球力につながった。

チームは交流戦で球団最長の7連勝を収め、4月13日以来、約2カ月ぶりに貯金生活に突入。息子の大活躍&推しチームの連勝で喜びに浸っているであろう父にヒーローインタビューで言った。「今日は父の日ということで…いつもありがとう!」。DeNAにもたらす勝ち星の1つ1つが、最高のお父さん孝行になる。【小早川宗一郎】

▽DeNA三浦監督(石田裕に)「ルーキーで大したもんですよ。球数が少なかったので、9回までいってもらいました」