柔道のグランドスラム(GS)カザフスタン大会の女子78キロ超級で3位となった、パリ五輪同級代表の素根輝(パーク24)=福岡県久留米市出身=が15日、成田空港に帰国した。

 4月の国際大会で左膝を痛めた中で出場した今回のGSカザフスタン大会。3位のランキングポイントも獲得して、五輪出場権も確実にした。素根は「今回はけががある中で、無事に試合を迎えられたことはまず良かった。課題もすごく明確になり。改めて目標も明確になった。次に向けて頑張っていかないといけない」と2021年の東京五輪同級に続く連覇が懸かるパリ五輪前最後の大会を振り返った。

 準決勝で東京五輪銅メダルのロマヌ・ディコ(フランス)に一本負け。上背のある相手に背中を許してなぎ倒されると、そのまま寝技に持ち込まれ抑え込まれた。患部の治療を優先したことから、本格的な稽古は3日ほどだった影響があったとはいえ、悔しい負けに変わりはない。3位が決まると涙を浮かべるシーンもあり、素根は「情けないのと悔しいのと2つの感情。最近は優勝ができてない。悔しい気持ちが大きい」と話す。

 ただ周囲の多大なサポートもあって患部は確実に癒えており、盛夏の本番に向けて組み手などの課題を修正しながら、状態を上げていくことに専心する。ライバルのディコとの一戦を「自分のいいところを出せなかった」としつつも「パリ五輪の前に1度試合ができたことは良かった」と前向きにも捉えている。

 開幕まで残り約2か月。「不安はもちろんあるんですけど(状態を)戻すしかない。自分の中で必ず金メダルというのはずっと変わらない。自分はこんなもんじゃないと思っている。4月にけがをして、改めてたくさんの方々に支えられてるなっていうのを実感した。もう私は結果を出すしかない」。女王は再びの金メダルだけを見据えて日々畳に上がり続ける。