福岡大大濠は福岡第一との対戦で苦しみながら逆転勝ちした。第4クオーター(Q)残り35秒で大黒柱の渡辺伶音(3年)がフリースローを2本決めて逆転。全国の強豪校が集まった4月の飯塚カップ2024では東山(京都)と開志国際(新潟)に逆転負けを喫していただけに片峯聡太監督は「こういう競った展開の試合に勝てたのは大きい。崩れずに耐えられたのは評価できる」とたたえた。

 相手の2―3ゾーン守備に対して、エースナンバー「14」を背負う高田将吾(3年)が攻略の鍵となった。ジャンプシュートに定評があるU18日本代表候補。アウトサイドに3点シューターの湧川裕斗主将、インサイドには206センチの渡辺がいるため、スペースが空くハイポストからの得点を期待されていた。高田は序盤こそシュートが当たっていなかったが、第2Qに2本の3点シュートを決めて波に乗ると、第3Qにはミドルシュートも決め、湧川主将の17得点に次ぐ15点を挙げた。

 今年、右膝を手術し4月に復帰。試合勘を取り戻せていない。「まだどう動けばいいか分からないときもある。前日の準決勝でもターンオーバーがあって反省していた。今日の試合で流れを持ってこられたのは自信につながる」とほおを緩ませた。

 新チームでは練習時間を割いていないゾーン攻略に苦しみながら、接戦を制してライバルに5連勝。終盤に3点シュートを沈めた湧川主将は「自分たちのシュートが入らない時間帯に、守備を頑張り続けられたのが勝利につながった。第一さんは次回の対戦でもゾーンをしてくると思う。対策しておきます」と油断はない。

 昨年からの主力が数多く残る今年は、試合中の対応力が高いという。片峯監督は後半、今年1度も練習をしていないというゾーンプレスを指示。選手は即座に遂行し、福岡第一のガード陣に重圧をかけていた。片峯監督は「指示の意図を気付いて、プレーできるようになっている。今後はコミュニケーションの質とスピード感をもっと高められるようにトレーニングしていきます」。エース高田の復調は全国制覇を目指すチームにとって大きな収穫。今回の激戦を糧にさらに完成度を高めていく。