OHKのカメラが収めた岡山・香川の懐かしの映像で、ふるさとの歴史を振り返ります。今回は起工式が行われたものの開通に至らなかった岡山県と鳥取県を結ぶ”幻の鉄道”に関する映像です。

1974年(昭和49年)5月9日。真庭市(旧岡山・勝山町)で撮影された映像です。この日、真庭市の勝山小学校で国鉄南勝線、建設工事の起工式が行われました。

南勝線は姫新線の中国勝山駅と当時まだ路線があった国鉄倉吉線の終着駅、山守駅の間、43キロを結ぶ鉄道新線でした。

日本鉄道建設公団の資料「一九七八 所管工事の概要」によりますと、南勝線は中国勝山駅を出ると旧勝山町、旧湯原町、旧川上村、旧八束村(現在は全て真庭市)を経由し、鳥取県の旧関金町の(現在は倉吉市)の山守駅に至る路線で、岡山県北の主要観光地の蒜山や湯原などにも駅が設けられる計画でした。

1978年以降、日本鉄道建設公団が予算を計上したものの、国鉄の経営悪化を受けた翌年の「国鉄再建法」成立で予算凍結後に建設工事はストップ。南勝線につながる計画だった鳥取県の赤字ローカル線、国鉄倉吉線も1985年に廃止に追い込まれました。

地元の真庭市では1957年に南勝線建設促進期成会が結成され、官民挙げての建設推進の運動が本格化。1974年に起工式は行われたものの、開通式を迎えることができませんでした。