2024年5月14日、ボイス・オブ・アメリカの中国語版サイトは、中国の競泳選手の薬物問題を巡り、世界アンチドーピング機関(WADA)が特別会議を開催すると報じた。

記事は、WADAが13日、薬物検査で陽性反応が出たとされる中国の競泳選手23人についての特別会合を17日に開催することを発表したと紹介。WADAは先日、元スイス検察官のエリック・コティエ氏を問題の処理状況検証担当者に任命し、この件に関するすべての文書を閲覧できる権限を与えており、パリ五輪開幕1カ月前に検証結果が発表される見通しであることを伝えた。

そして、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長がこの件に関してWADAへの支持を示すとともに、検証結果で問題がなければ当事者の中国選手は同五輪に出場可能と述べたことを紹介した。

記事は問題の経緯について、米紙ニューヨーク・タイムズが4月、21年の東京五輪前に中国の水泳選手23人に狭心症の薬で運動能力向上効果もあるとされる禁止薬物トリメタジジンの陽性反応が出たにもかかわらずWADAがこの件を秘密にし、東京五輪に出場した当事者の選手が複数のメダルを獲得したと報じたことを紹介。WADAは当時、「選手らが不注意で薬物に触れた」という中国側の主張を受け入れたとし、問題が明るみになった後もWADAと中国当局は自らの擁護を続けたとした。

また、陽性反応が出た薬物検査に対する中国のアプローチについて、即時報告せず2カ月後に報告書を提出したこと、競技者が宿泊したホテルの厨房の複数箇所から残留薬物が検出されたと主張しながら、厨房に薬物が存在した理由を説明していないことなど疑問点が複数指摘されていると伝え、米国アンチドーピング機構(USADA)は今月初め、「半信半疑なレトリックにより、疑惑をますます深めている」として世界アンチドーピング機構を激しく非難したと紹介した。(翻訳・編集/川尻)