[J1第16節]川崎 1−1 柏/5月25日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 2連敗中の川崎にとって、柏戦は3試合ぶりに勝点を獲得するゲームとなったが、3戦連続で先制しながらのドローと、悔しさの残る一戦ともなった。

 そのなかでCB大南拓磨とともに、右SBとして古巣戦に臨んだのが瀬川祐輔だ。

 元来はアタッカーながら今季はSBに本格的にチャレンジしている瀬川は、開幕からコンスタントに先発を掴んでいたが、J1通算150試合出場を達成した13節の札幌戦(5月11日)、続く14節の鳥栖戦はスタメン落ち。

「札幌戦で外されてしまった時に、その後、オニさん(鬼木達監督)とコミュニケーションを取らせてもらったと言いますか、オニさんから話をしてもらえました。その時に自分の想いもぶつけさせてもらいました。コミュニケーションを取ってくれる監督ですし、切り替えるには難しい部分もありますが、そういう機会を作ってくれて、また臨むことができています」
【動画】川崎×柏のハイライト
 その背景がありつつ、覚悟を持って先発した前節(15節)のG大阪戦は果敢なオーバーラップを何度も見せ、攻撃を活性化。家長昭博からのクロスを頭で決めてチームに先制点をもたらす出色の活躍を見せた。

 しかし、前半の終盤に脳震盪で交代を余儀なくされる。その時の悔しそうな表情は印象的だった。

 そして脳震盪からの回復プログラムを経てギリギリで間に合った柏戦。試合後には想いを語った。

「今週はずっとフワフワしてしまっていて、脳震盪もあって復帰したのは(試合)前日だったので、なかなかコンディションを合わせるのは難しかったです。

 ただ、ガンバ戦のプレーを基準にと言いますか、自分のなかでそういう想いでありましたし、自分の良さは守備より攻撃なので、オニさんとも喋ったなかで、守備よりも攻撃重視で、攻撃をすれば守備の負担が減るという考えで、ガンバ戦からはできているので、脳震盪で交代になったのは自分のなかでは痛かったですが、今日(柏戦)も同じような気持ちで入れました。前半はまずまずだったと思いますし、後半はもっとギアを上げていかなくてはいけなかった。上げ切れなかったのは自分の課題かなと思います」

 以前にはこうも語っていた。

「僕はアタッカーの選手ですが、今季はキャンプからずっとサイドバックでやらせてもらっているので、サイドバックで勝負したい」

 なかなか勝点を積み重ねられていないが、川崎は「自分たちにしかできないゴールにもっともっとこだわってやっていきたい」(鬼木監督)という方向性はぶらさない。

 そのなかで攻撃に変化を加えられる存在として瀬川が、戦友である前任者の山根視来のようにどうプラスアルファをもたらすことができるか。瀬川は周囲と密にコミュニケーションを取り、チームの潤滑油になれる能力にも秀でる。柏戦でも前半を終え、引き上げてくる場面で何人もの選手に声をかける彼の姿があった。

 川崎にとって右サイドはキーマンの家長らと連係する攻撃の重要エリア。瀬川が右SBとしてどう進化していくのかは楽しみだ。 

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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