競馬の祭典・日本ダービー

今週日曜日、東京競馬場で日本ダービー(GⅠ)が行われる。今年は皐月賞がレコード決着だったこともあり、ハイレベルなレースが期待される。無敗の二冠を狙うジャスティンミラノのほか、皐月賞からの逆転を狙うコスモキュランダ、アーバンシック、シンエンペラー、青葉賞勝ち馬でキタサンブラックの半弟シュガークン、スプリングSを制し無傷3連勝のシックスペンス、そして17年ぶりの牝馬制覇を狙うレガレイラなど、文字通り2021年生まれのサラブレッド最強を決めるにふさわしいメンバーが揃った。

JRA創立70周年を迎える今年はどんなドラマが待っているのか。人馬無事に終わることを祈りつつ、過去10年のデータから迫っていきたい。

皐月賞連対馬に立ちはだかる壁

皐月賞組に関するデータ,ⒸSPAIA


<日本ダービー 皐月賞組に関するデータ>
前走先行【1-5-1-17】勝率4.2%/連対率25.0%/複勝率29.2%
→前走上がり6位以下【0-1-0-14】勝率0.0%/連対率6.7%/複勝率6.7%
前走差し追込み【7-4-4-50】勝率10.8%/連対率16.9%/複勝率23.1%
→前走勝ちor着差0秒5以下【6-4-2-9】勝率28.6%/連対率47.6%/複勝率57.1%

まず、今回10頭(※皐月賞競走除外のダノンデサイル、今回取消しのメイショウタバル除く)が該当する前走皐月賞組のデータから見ていこう。皐月賞で先行していた馬は連対率こそ優秀なものの、勝ったのは23年タスティエーラのみ。さらに皐月賞で上がり6位以下だった馬で馬券圏内に入ったのは22年2着のイクイノックスのみ。同年にはダノンベルーガが1番人気で4着に敗れている。直線の長い東京替わりということもあり、皐月賞で速い上がりを使えなかった先行馬はかなり苦戦している。ダノンベルーガと同じくデビュー2戦目で共同通信杯を制したジャスティンミラノには厳しいデータとなる。

一方、皐月賞で差し追込みだった馬もみてみる。好走率はやや下がるが、勝ち馬に迫っていれば期待度は高まり、勝ちもしくは着差0秒5以下なら約半数が連対。21年3着ステラヴェローチェ、22年1着ドウデュース、23年2着ソールオリエンスと現在3年連続で馬券に絡んでいる。今年該当するのはコスモキュランダ、アーバンシック、レガレイラの3頭。特に追込馬に限ると【3-1-0-0】で連対率100%。2着もソールオリエンスのクビ差であり、高い安定感を誇る。ダービーでの逆転は十分可能とみていい。

日本ダービー、キャリア別成績,ⒸSPAIA


<日本ダービー キャリア別成績>
3戦【1-2-0-8】勝率9.1%/連対率27.3%/複勝率27.3%
4戦【4-4-2-31】勝率9.8%/連対率19.5%/複勝率24.4%
5戦【4-2-4-37】勝率8.5%/連対率12.8%/複勝率21.3%
6戦以上【1-2-4-72】勝率1.3%/連対率3.8%/複勝率8.9%

次に出走馬のキャリア数を確認する。まず注目したいのはやはり現在3年連続で連対馬を出しているキャリア3戦馬。前走2着以内に絞ると【1-2-0-3】となり、該当するシックスペンスとジャスティンミラノはトレンドを押さえる意味で要警戒だ。

キャリア4戦も連対率は優秀だが、連対例は全て前走皐月賞組。今回はアーバンシック、レガレイラなどが該当する。それ以外の組では17年にアドミラブル(前走青葉賞1着)の3着があるのみで、ダノンエアズロックやシュガークン、ダノンデサイルには有利なデータとならない。

また、キャリアを重ねた馬の成績は芳しくない。キャリア6戦以上で勝利したのは14年のワンアンドオンリーのみ。皐月賞連対馬でもトゥザワールド(5着)やペルシアンナイト(7着)など馬券外に敗れている。キャリア8戦のコスモキュランダは取り扱いに注意だ。

17年ぶり牝馬制覇へ

◎レガレイラ
皐月賞は落馬負傷で離脱したC.ルメール騎手から北村宏司騎手に乗り替わり。1番人気に支持されたが、後方からの競馬となって結果は6着。ただ上がりは1位タイでホープフルS勝ち馬の意地は見せた。

前走皐月賞で上がり最速だった馬は【5-1-0-5】と半数以上が連対。14年ワンアンドオンリーは4着から巻き返してダービーを制した。本馬は6着だが4着とはクビ、クビ差であり、大きな不安材料とはならないだろう。前章の好走データ2つにも合致しており、今回は鞍上が戻っての一戦。C.ルメール騎手は同舞台のGⅠを2連勝中で、先週は同じく乗り替わりから戻ったチェルヴィニアで前走13着からの復活を見せた。1枠2番を引けたのも大きい。17年ぶり牝馬のダービー制覇へ条件は整った。

◯ジャスティンミラノ
皐月賞は前半57秒5のハイペースの中5番手を追走すると、直線で一度先頭に立ったジャンタルマンタルを差しきり、コスモキュランダをクビ差凌いで勝利。着差こそ小さかったが、中団以降に待機した馬が上位に多くきたなか、先行押しきりは素晴らしいパフォーマンスだった。同じく先行策を取ったジャンタルマンタルが距離こそ違うがGⅠを快勝したこともその証だ。2走前の共同通信杯は前半62秒7のスローペースを加速ラップで勝利。キャリア3戦ながら両極端のペースを経験しているのも大きい。

皐月賞先行馬の成績が気がかりとなるが、共同通信杯では上がり32秒6を出すなど末脚がないわけではなく、連続好走があっても不思議はない。

▲アーバンシック
皐月賞は上がり3位の末脚で4角10番手から4着に入った。2走前の京成杯は唯一上がり33秒台で2着。この馬以外の上位5頭は全て4角5番手で前残りだったことを踏まえると強い競馬だった。能力は今回のメンバー内でも上位だろう。直線の長い東京の方が合っており、前述の好走データ2つにも合致。しかし勝利した新馬戦、百日草特別はどちらも着差が小さい点、重賞での勝ち星がない点を考慮し、▲評価とした。

△シックスペンス
スプリングSは先行して加速ラップをたたき出し、2着に0秒6差をつける完勝。しかし2、3着馬がどちらも皐月賞で大敗している点、スプリングSから乗り替わっている点、前走2000m未満の馬は【1-0-0-28】というデータなど不安材料も多い。キャリア3戦の好データはあるものの、△評価とした。

以下、コスモキュランダ、ダノンエアズロックに印を回す。馬券は◎◯-◎◯▲-◎◯▲△×☆の3連複とする。

▽日本ダービー予想▽
◎レガレイラ
◯ジャスティンミラノ
▲アーバンシック
△シックスペンス
×コスモキュランダ
☆ダノンエアズロック

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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