【地方からの風】6月11日に行われる重賞「川崎スパーキングスプリント」(S3)の優先出走権が与えられるトライアルが6日の川崎11Rで行われ、見事勝ち上がったのがサンダーゼウス(牡5=川崎・高月)だ。

 好スタートからハナを奪うと3コーナーからはノボベルサイユ、マッドシェリーとの3頭併せの形で競り合ったが、直線残り200メートルでステッキを入れると瞬時に反応。一気に突き放し、最後は2着に4馬身差をつけての圧勝だった。勝ち時計も53秒7と馬場状態を考えれば極めて優秀なもので重賞タイトルが一気に視野に入ってきた。

 だが、注目したいのはその強さだけではない。出走表を見ると父の欄には「サクラゼウス」とある。記者歴の長い当方としても全く見覚えのない名前。調べてみれば、サクラバクシンオー産駒で06年にJRAで新馬デビュー(6着)。その後2連勝して3歳春にファルコンS(G3、当時1200メートル)で3着に好走したが屈腱炎を発症。休養を経て最後は地方・高知へ。そこで重賞勝ちこそなかったが、無傷の12連勝を達成。11年にレックススタッドで種牡馬入りしたという変わり種。加えて近年の種付け頭数も1桁続きとあれば、見ないはずだ。

 「内枠から行き切れたのが良かった。時計的にも重賞でも足りるはず」と手綱を取った森が評価すれば、高月師も「重賞に行きます」と宣言。マイナー種牡馬の“大金星”なるか。1カ月後のレースが楽しみになってきた。