◇パ・リーグ 西武6―5オリックス(2024年5月25日 ベルーナD)

 変わらないスタイルで477本塁打を積み重ねた。西武・中村剛が、通算本塁打数で並んでいた金本知憲を上回り、歴代単独10位に浮上した。

 「うまく打てた。チームが勝ったことが良かった」。負ければ15年の球団ワースト13連敗以来となる9連敗だった。「4番・DH」で出場し、先制の6号ソロ。2回に曽谷の直球を左翼席中段まで運んだ。松井監督は「前日に負けた中で、先制が大きかった」と40歳の先制弾を評した。

 中村剛はどんな球種にもスイングが変わらない。追い込まれても、スケールの小さい、当てにいく打撃はしない。打撃フォームが常に一定だ。だから三振も潔く見える。この日も2ストライクから豪快なスイングを貫いた。

 連敗中でも変わらず泰然自若だ。試合前の打撃練習では、いつも通りケージ裏で力士のように「股割り」をしながら順番を待つ。股関節が柔らかく体の柔軟性が飛距離を生む。今季の過去5本は負け試合。やっと6号が勝利につながったが「そこは意識していない」と淡々としていた。

 試合前には8連敗を止めるべく主将の源田が呼びかけ、野手だけで異例のミーティングが行われた。その日に中村剛が通算477本塁打目。指揮官は「想像できない数字ですが一本ずつ積み上げてくれたら」と期待する。

 通算500本塁打まで残り23本。「まだまだ打てるように頑張る」と相変わらず口数は少ない。だが最下位に苦しむチームの流れは変えた。(神田 佑)